感想
■ エディング四重奏団 Edding Quartet
Apple Musicでの試聴です。
エディング四重奏団は,古楽オーケストラのシャンゼリゼ管弦楽団のトップ奏者で構成され,ピリオド楽器を使って演奏されているとのことです。終楽章は大フーガに置き換えられています。とても軽やかでスピード感がありキレの良い演奏を聴かせてくれます。アンサンブルも優秀です。特に混沌としがちな大フーガをサラッと弾いていてこんなに聴きやすい演奏はそんなにないと思います。ピリオド楽器であることがあまり意識されないのも良い点です。この演奏で他の曲も聴いてみたいです。
さて肝心の録音ですが,やや残響が多めで楽器音へのまとわりつきが気になりますが,楽器音自体は比較的近い距離で録られているのか,ニュアンスが十分に伝わってきて,これならまだ許せると思いました。もっと残響を抑えてクリアに録って欲しいのは言うまでもありませんが。
なお,カップリングとしてNorthernlightの演奏によるピアノと管楽器のための五重奏曲変ホ長調作品16が収録されています。
■ シネ・ノミネ四重奏団 Quatuor Sine Nomine
レーベル | : | Claves Records |
収録曲 | : | Op.59, Op.74, Op.95 |
録音 | : | Salle de Chatonneyre in Corseaux/Vevey (Switzerland), 19-22 December 2004, 27-30 June 2005 |
所有盤 | : | CD 50-2509/10 (P)(C)2005 Claves Records (輸入盤) |
備考 | : | 演奏 録音(★★★★)
Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Online,Apple Music
|
シネ・ノミネ四重奏団は1975年の結成ということです。少なくとも2013年の録音がありますので,40年近く活動されているベテランの四重奏団です。これは2005年頃の録音ですので結成30年くらいでしょうか。キャリアの割に録音が少ないのが残念ですが,シューベルトの弦楽四重奏曲全集などの名盤を残していますね。
さてこのベートーヴェンですが,全体に速めで淀みのないテンポ設定で颯爽としており,かつ,エモーショナルな演奏です。完成度を求めるよりもノリを重視しているようにも思います。ベートーヴェンの録音というと構えた演奏が多いように思いますが,これは随分と自由闊達な印象を受けます。長いキャリアが生んだスタイルなのかもしれません。
録音ですが,少し残響感はありますが,それでも比較的明瞭に録られていて聴きやすい録音です。楽器の質感は少し弱めでちょっと中途半端な印象があり,もう少しクリアに録って欲しかったところですが,まあこれでも問題ありません。
この中期の弦楽四重奏曲集,セリオーソまでの5曲が2枚に収まっています。考えてみるとほかにはあまりないように思います。
■ ジャスパー弦楽四重奏団 Jasper String Quartet
ジャスパー弦楽四重奏団は2006年に米国オハイオ州のオバーリン音楽院で結成された四重奏団で,2008年頃には東京クヮルテットの指導も受けたことがあるようです。Sae Chonabayashiさんという日本人の方が第2ヴァイオリンで参加されています。この録音の前に2枚のディスクをリリースされています。この録音はディスクで発売されているのかどうかはわかりませんでした。Apple Musicでの試聴です。
基本的には奇を衒わないオーソドックスな演奏ですが,気負いのない軽めの表現が明るく爽やかです。アンサンブルも良く技術的にも安定感があります。もう少し個々の奏者の音色に魅力があればとも思いますが,神経の行き届いた細やかさと控え目ながらも情緒的なニュアンスがそれを補ってくれています。
録音ですが,残響は控え目に抑えられているものの,少し距離感があってそれぞれの楽器に薄いベールがかかったような感じに聴こえます。楽器の質感やニュアンスは辛うじて感じられ,音色の曇りも最小限なので十分許容範囲なのですが,もう少しすっきり,くっきり録ってくれていたらなぁと思います。惜しいです。
後期の四重奏曲のこういう演奏はあまりないように思いますので,今後の録音にも注目していきたいですね。
■ クァルテット・エクセルシオ Quartet Excelsior
2014年にリリースされた第12番,第16番に続く第2弾となります。録音自体は前作から約半年後の2014年12月。基本的には前作と同じで正統的なスタイルが踏襲されており,優れたアンサンブルと細やかに表現が行き届き,完成度高く仕上げています。やはり個性的な表現は追い求めず,あくまでオーソドックスな範囲でニュアンスの豊かさで勝負しているように聴こえます。これはこれで私は良いと思いますし,この路線で全曲録音を続けて欲しいというのも変わりません。
ただ,前作でも残念だった録音は今回も同じであり,残響が音色を濁しており,また,ニュアンスや質感を聴き取りにくくしているのは少々残念です。この残響の取り入れ方は音楽的にもほとんど貢献していませんので,もっとクリアにヌケ良く録ることを優先して欲しいところです。目くじらを立てるほど悪くはないのですが,せっかくの好演奏をもっと良い状態で楽しみたいということで,あえて言わせていただいております。
■ サイプレス弦楽四重奏団 Cypress String Quartet
(3) | | ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集 |
レーベル | : | 自主制作? |
収録曲 | : | Op.127, Op.130, Op.131, Op.132, Op.133, Op.135 |
録音 | : | 不明(2009-12年?) |
所有盤 | : | CSQBC012 (C)2012 Cypress Performing Arts Association (輸入盤) |
備考 | : | 演奏 録音(★★★★)
Amazon.co.jp
|
サイプレス弦楽四重奏団は1996年に米サンフランシスコで結成されたとのこと。アンサンブルもしっかりした堅実な演奏を聴かせてくれます。オーソドックスですが,ここぞというところでしっかりと盛り上げる,ツボもきちんと押さえています。実力のある団体だと思いました。
今まで中期,後期が先行して発売されていましたが,この2016年5月に前期が発売になり,全集として完成したことになります。また,後期はほとんどプライベート盤的なリリースであったものが,Avieレーベルから発売となり,めでたく同一レーベルで揃ったことになります。
録音ですが,前期,中期,後期で少し差があるものの,統一感のある録音です。残響は少なめですが,残響までにならない,部屋の反響音が若干多めで音色はくすみ気味です。生録的な自然な雰囲気の録音で基本的にはこのような録音は好きなのですが,もう少し反響音を抑えて透明感のある音で録って欲しかったですね。少し残念です。
なお,以前にも報告しましたが(→こちらをご参照ください),最初に入手したものは中期のDISC 3,Track 6の4:22あたりでノイズが入り,返品交換してもらったものも同様にノイズが入るということで諦めかけたのですが,公式Webサイトから四重奏団に直接問い合わせたところ,作り直した正常なディスクを送ってもらうことができ,一件落着したということがありました。もし入手されたディスクに同様な欠陥があった場合は,直接問い合わせてみるという手段もありますので,ここに紹介しておきます。
■ アルカン四重奏団 Quatuor Alcan
(1) | | ベートーヴェン:初期弦楽四重奏曲集 |
レーベル | : | ATMA |
収録曲 | : | Op.18 |
録音 | : | 2007-2010年 カナダ,ケベック |
所有盤 | : | ACD2 2491 (P)2007-2010 (C)2014 Disques ATMA inc. (輸入盤) |
備考 | : | 演奏 録音(★★★★)
Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Online
|
(2) | | ベートーヴェン:中期弦楽四重奏曲集 |
レーベル | : | ATMA |
収録曲 | : | Op.59, Op.74, Op.95 |
録音 | : | 2008-2011年 カナダ,ケベック |
所有盤 | : | ACD2 2492 (P)2008-2011 (C)2015 Disques ATMA inc. (輸入盤) |
備考 | : | 演奏 録音(★★★★)
Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Online
|
(3) | | ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集 |
レーベル | : | ATMA |
収録曲 | : | Op.127, Op.130, Op.131, Op.132, Op.133, Op.135 |
録音 | : | 2007-2012年 カナダ,ケベック |
所有盤 | : | ACD2 2493 (P)2015 Disques ATMA inc. (輸入盤) |
備考 | : | 演奏 録音(★★★★)
Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Online
|
アルカン四重奏団はカナダの団体,1989年の結成で,2014年に結成25周年,これに合わせて全集を録音されました。初期・中期と順次発売され,この度後期が発売されて全集として揃いました。以前に一度初期・中期を取り上げていましたが,改めて取り上げます。
とても良くバランスの取れた演奏をする団体です。表現は至ってオーソドックス。技術力もありますしアンサンブルもとても良く安定感があります。あまりに素直で強い主張がないために少し印象が薄いのですが,曲に対する誠実さを感じる良い演奏であることは間違いありません。特に後期は策を弄せずよりシンプルですっきりと表現されていてかえってこれが良い効果を生んでいます。地味ですが良い全集が出来上がったなと思います。
録音ですが,数年にわたって少しずつ録音されていてばらつきがあります。一部の録音は残響が適度に抑えられてすっきりと聴きやすいのですが,残響が多めで癖のある響きが被って明瞭感と音色に影響し高域のヌケが今ひとつでスカッと気持ちよく聴くことが出来ないものもあります。それほど悪い録音ではないのですが,良い方の録音に統一されていれば良かったのにと少し惜しく思います。
■ アルティ弦楽四重奏団 ALTI String Quartet
京都府立府民ホール“アルティ”の開館10周年を記念して1998年に結成された,豊嶋泰嗣,矢部達哉,川本嘉子,上村昇,という錚々たるメンバーの弦楽四重奏団。すでに第1弾としてベートーヴェンの第14番,第16番のディスクをリリースしており,これが第2弾となります。
基本的に第1弾から変わらず,オーソドックスで堂々とした演奏ながら,奥ゆかしさというか,慎ましさというか,日本人の美徳が感じられ,それがこの曲によくマッチしています。技術的にも安定していますし,アンサンブルも申し分ありません。強い主張がないところが好き嫌いの分かれるところだと思いますが,私は好きです。昨今こういう演奏はあまり多くないと思いますし。この調子で残りの曲も録音して欲しいですね。
さて録音ですが,前回と同じくホールの響きのキャラクターに支配され,演出色が強いです。やはり残響の取り入れ方が半端で,心地よい響きに至らず,音色を濁し明瞭感,質感を損なってしまっています。やはり今回もせっかくの素晴らしい演奏をまったく活かさない録音でとても残念です。
ところで,やはり今回もアルティでの録音ではないですね...(^^;。
■ フィルハーモニア・クァルテット・ベルリン Philharmonia Quartett Berlin
レーベル | : | Thorofon |
収録曲 | : | 全集 |
録音 | : | データなし |
所有盤 | : | CTH2614 Thorofon (2015年発売) (輸入盤) |
備考 | : | 演奏 録音(★★★★),(★★★☆)(Op.95, Op.127, Op.130, Op.133)
Tower Records,HMV Online
|
フィルハーモニア・クァルテット・ベルリンは,ベルリンフィルの首席奏者によって1984年に結成された団体とのことで,メンバーチェンジを繰り返しながら今に至り,日本にも10回以上来日しているとのことです。
録音データが全く記載されていないのですが,公式Webサイトのディスコグラフィを見ると,1994年にOp.95/Op.127,2000年にOp.130/Op.133,2004年にOp.131/Op.135,だいぶ飛んで,2013年にOp.18,2014年にOp.59/Op.74をそれぞれリリースしており(Op.132は不明),この全集はそれら20年にわたる録音の集大成ではないかと思われます。
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲というと,昨今は切れ味の鋭くソリッドに演奏がされる傾向が強いと感じているのですが,ここでは卓越した技術に支えられているのはもちろんですが,活気がありながらもその技術的余裕を活かしてむしろユルくネアカのベートーヴェンに仕立てているように思います(「ユルく」というのは誤解を生みそうですが(^^;)。あとの録音になるほどその傾向が強くなっているのは団体としての成熟度を反映しているのかもしれません。これはなかなかに素晴らしい全集だと思います。
録音ですが,2000年頃までにリリースされているOp.95, Op.127, Op.130, Op.133と,それ以降の録音で差があり,前者は残響過多で音色がくすみ,明瞭感も良くなく,精彩のない音質です。一方後者は残響は多いものの,直接音成分が比較的多いため,残響の影響を受けながらも楽器の質感も感じ取りやすく,音の伸びもあってまずまずです。中ではラズモフスキー第1番が最も良好です。せめてこれくらいの録音で統一されていたら良かったのですが。
■ ミネッティ四重奏団 Minetti Quartett
レーベル | : | hänssler CLASSIC |
収録曲 | : | Op.18-2, Op.18-4, Op.95 |
録音 | : | 29-30 April 2013, 1-2 May 2013, Hofmusikkapelle, Wien |
所有盤 | : | CD 98.029 (P)(C)2014 hänssler CLASSIC (輸入盤) |
備考 | : | 演奏 録音(★★★★☆)
Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Online
|
ミネッティ・クァルテットは2003年に結成された若手の四重奏団。2006年のグラーツのフランツ・シューベルト国際弦楽四重奏コンクール最高位などの受賞歴があるとのことです。
これは現代的でスマートで洗練された演奏ですね。勢いのある演奏なのに全く乱れたり荒れたりせずキレの良い完璧なアンサンブルで音楽が見通しよく整理されています。個々の奏者の音色が美しく魅力的で(特に1stヴァイオリンが際立っています),優れたアンサンブルと相まって雑味のない透明な響きを生み出しています。これは出色の出来です。素晴らしいです。
録音ですが,残響(響き)を少し取り入れていてまとわりつきと音色への影響が気になるものの,個々の奏者のニュアンスや楽器の質感を伝えてくれるもので,見通し,分離感もまずまずです。もう少し響きを抑えて欲しかったとは思いますが,これでも十分良好な録音と言えます。
演奏も録音も良い素晴らしいディスクでした。今後の録音にも大いに期待します。
■ エリアス弦楽四重奏団 Elias String Quartet
レーベル | : | Wigmore Hall |
収録曲 | : | Op.18-4, Op.74, Op.130, Op.133 |
録音 | : | Recorded live at Wigmore Hall, London, on 20 February 2014 |
所有盤 | : | WHLive0073/2 (P)(C)2015 The Wigmore Hall Trust (輸入盤) |
備考 | : | 演奏 録音(★★★★)
Amazon.co.jp
|
ふふふ...今時こんなコテコテの演奏をする弦楽四重奏団があったとは。嬉しくなりますねぇ。1stヴァイオリンが全体を引っ張るスタイルで,とにかくこの1stヴァイオリンが臭ってきそうなくらい強烈な個性を発しているのです。技術的にも上手いですしアンサンブルも良いです。いやー,とにかく面白い。好きかどうかは別にしてこんなベートーヴェンは滅多に聴けないので本当に楽しめます。大フーガが終わった後の観衆の熱狂的な拍手,かけ声も納得です。私もずっとニヤニヤしながら聴きました(^^;。全集の第1弾ということですので,今後の続編が楽しみです。
録音ですが,ライヴ録音で残響感とホールの雰囲気を感じさせる反響があるために音色は少し影響を受けているのですが,本来の伸びはないものの刺激的なくらいに高域はあるので質感はかなり保たれています。くすんだ感じもありません。もう少しすっきりと透明感のある音で質感豊に録って欲しいところですが,許容範囲内に入ります。
なお,第13番は終楽章が大フーガのバージョンで弾いています。
■ ベルチャ四重奏団 Belcea Quartet
レーベル | : | EuroArts |
収録曲 | : | 全集 |
録音 | : | 2012年 ウィーン・コンツェルトハウス |
所有盤 | : | EuroArts 2072664 (輸入盤) ※Blu-ray Disc 4枚組 |
備考 | : | 演奏 録音(★★★★)
Tower Records,HMV Online
|
ベルチャ四重奏団は2011年から2012年にかけてセッションで全集を録音していますが,これはそれを受けて行われた全曲演奏会のライヴ収録ビデオです。第13番は大フーガを終楽章とする演奏と,新たに作曲され差し替えられた終楽章の演奏と,2種類の演奏が収録されています。
セッションと同時期の演奏なので,ほぼ同じ印象を受けるます。ライヴでもこの完成度を保っているのはさすがです。甘さを徹底して排除した極めてキレの良いダイナミックな現代的演奏ですね。
録音はやや多めに残響が取り入れられていますが,ウェットになることなく楽器音をしっかりと捉えています。しかしやや音が硬く伸びがありません。悪くはないのですが,すっきりしない録音です。
映像の方はカメラワークは悪くないと思いますが,ステージが暗く映像も全体に暗く地味です。これは全く好みの問題なのですが,私としてはもう少し明るい映像で録ってくれた方が楽しめたかなと思います。演奏には集中できるかもしれませんが。
■ クァルテット・エクセルシオ Quartet Excelsior
これもまた日本人の超真面目さ,美徳がそのまま音楽になったような演奏ですね。まるでお手本。突出した特徴はありません。ですが,とても調和の取れた,バランス感覚に優れた,控えめながらもニュアンス豊か,弦楽四重奏としてとても完成度の高い出来だと思います。アンサンブルも優秀です。弦楽四重奏団としての個性は私にはほとんど感じられませんでしたが,それ自体がこの四重奏団の美点であると思います。
録音ですが,残響感がほとんどないにもかかわらず,音色はややくすみ気味でややすっきり感がなく冴えません。少しオフマイクなのかもしれません。悪くはありませんが,中途半端な感じが否めません。もう一歩楽器に寄ってクリアにヌケ良く録音して欲しいものです。
ベートーヴェンはこの調子で録音を続けて欲しいです。期待しています。でも録音は改善を強く望みます。
■ イェール弦楽四重奏団 The Yale String Quartet
(1) | | ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集 Vol.1 |
レーベル | : | Vanguard Classics |
収録曲 | : | Op.127, Op.130, Op.133 |
録音 | : | Vanguard's 23nd Street Studio, New York City, 1968, 1971 |
所有盤 | : | ATM-CD-1205 (P)(C)2004 Artemis Classics (輸入盤) |
備考 | : | 演奏 録音(★★★★)(Op.127),(★★★★☆)(Op.130, Op.133)
Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Online
|
(2) | | ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集 Vol.2 |
レーベル | : | Vanguard Classics |
収録曲 | : | Op.131, Op.132, Op.135 |
録音 | : | Vanguard's 23nd Street Studio, New York City, 1968, 1971 |
所有盤 | : | ATM-CD-1206 (P)(C)2004 Artemis Classics (輸入盤) |
備考 | : | 演奏 録音(★★★★)(Op.131, Op.132),(★★★★☆)(Op.135)
Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Online
|
第一印象は真面目であまり寄り道しないストイックな演奏なのですが,キレが良くきびきびしていて控えめながらも跳ねるような躍動感もあります。特徴のある演奏ではないかもしれませんが,曲をいじりすぎないストレートなところが功を奏した良い演奏だと思います。アンサンブルも優秀です。
録音ですが,スタジオ録音ということもあって残響感は少なめです。そのため明瞭感はあるのですが,1968年から1970年にかけて録音された第12番,第14番,第15番は音色がやや古く,高域の伸び感も今一歩,音が団子になって分離感もやや物足りません。演奏が地味に聴こえてしまうのはこの録音のせいもあると思います。古いというほどの録音年代ではないので,これは少し残念に思います。1971年に録音された第13番,第16番は高域の伸びと分離感,質感が改善されていて良好です。
この録音では,安芸晶子さんと松田洋子さんが第2ヴァイオリンとして参加されています。第1ヴァイオリンは創生期の日本フィルのコンサートマスターを務めたブローダス・アール,ヴィオラはワルター・トンプラーとのことです。