オーディオ製品試用記

現在主に使っている機材については,試聴機材紹介で紹介していますが, このシステムに至るまでにいろいろと試してきています。 せっかくですので,そういった機材も含めて簡単に紹介したいと思います。

(最終更新日2012/01/03)

インデックス


インナーホン Sennheiser MX581

Sennheiser MX581

ケーブル1.2m Y字,プラグL字型 金メッキ 16Ω,VOL付

2010年5月24日発売。 クラシックラインのMXシリーズの製品で,ゼンハイザーのラインアップの中では中級品でしょうか(2012年2月現在Amazon.co.jpで3,518円という価格)。 カナル型全盛の昨今では珍しくなったオープンタイプです。

さて音質ですが...これは驚きました! 全くと言っていいほど癖のないスーパーフラットな印象です。 それにしても高域の伸び感,透明感,解像度の高さは格別です。 こんなに音が輝くイヤホンは初めてかもしれません。 バランス的には中高域寄りで低域は弱めです。 弱いといってもオープンタイプとしては標準的で私としては必要十分ですが, かなり軽い音質なので低域不足で物足らなく思う人は多いかもしれません。

ハウジングがやや大きめで装着感はあまり良くありません。 ポロポロと耳から落ちてしまうのですが,イヤースリーブというゴムのリングが付属していて, これを付けると何とか落ち着くという感じです(このゴムリングに付いたほこりが落ちにくいのもちょっとマイナス)。 ボリュームが付いていて,操作性は良好ですが,もう少し小さくして欲しかったところです。

ケーブルは柔らかく滑りも良いので絡みにくく取り扱いやすいです。 質感,手触りも良い感じです。 L字型のプラグのケーブルの根本のブッシュ形状のところが少しやわな感じがしますが,実際には問題なさそうです。

ということで,今のところ音質は大満足,取り扱いやすさも満足,装着感はちょっと不満,という評価です。 同じゼンハイザーのMX500が入手困難になってから代わりに常用できるイヤホンを探し続け, いくつか良さそうなものを見つけましたが,結局今はMX500に戻ってしまっていました。 このMX581は,久々にMX500の代替になるかも,という予感のする素性の良いモデルです。 もう少し使い続けて見たいと思います。 それにしても発売から1年以上経っているのに,このモデルについての評判はほとんどと言っていいほど見かけないですね。 こういうオープンタイプはもう顧みられないのでしょうかね...

参考url: ゼンハイザージャパン 製品情報

(記2012/02/04)

上記の試聴はイヤースリーブというゴムリングを取り付けて行いました。 このイヤホンには付属品としてウレタンスポンジのイヤーパッドも付属していますので,それでも試聴してみました。 その結果,不足していた低域が持ち上がり,低域から高域まで極めてバランスの良い音になりました。 これであれば弱いという感じはありません。 このイヤホンはイヤーパッドを付けてちょうど良い感じになりそうです。

イヤーパッドを取り付けると低域が改善されるのは,耳とイヤホンとの隙間がイヤーパッドで塞がり,気密度が多少なりとも向上するからでしょう。

私はこのイヤーパッドがあまり好きではないので,付属していても使うことはありませんでした。 汚れが気になることと,外れやすくすぐになくしてしまうからです。 イヤーパッドがないとバランスが崩れてしまうというのは困ったことですが, ゴムリングでも音質には満足していますので,当面ゴムリングで聴こうと思っています。

なお,兄弟機種にMX471というモデルがあります。 MX581からボリュームを外しただけ見えますが,ゼンハイザージャパンでスペックを見ると若干違うようです。 音質がどう違うか,機会があれば聴いてみたいと思います(参考:Amazon.co.jp )。

(記2012/02/05)



ヘッドホン Sennheiser PX200-II

Sennheiser PX200-II

ケーブル1.2m 片出し,プラグ ストレート,32Ω,ボリュームコントロール付き

密閉型で耳載せタイプのコンパクトなヘッドホン。 発売は2010年3月。 2012年1月現在の実売価格約8,000円。 ゼンハイザーとしては初級クラスの製品だと思います。

金属製のヘッドバンドで折りたたみ構造を採用していてコンパクトに収納できるのが特徴です。 相変わらずゼンハイザーらしくやや安っぽい感じですが,価格相応とも言えます。 イヤーパッドは厚めで薄い人工皮革で覆われています。 耳に載せる部分が小さいですが,載せた感じは悪くなく良くフィットして密閉が保たれます。 ケーブルは細めですがポータブルとしてはこれくらいがちょうど良い感じです。 音量調整用のボリュームコントロールが付いています。 操作部がやや大きくて邪魔ですが,操作性は悪くありません。

装着感はまずまず良好です。 側圧も適正で長時間使用しても疲れにくいです。

肝心の音ですが... 全体としてはフラットに近い癖のない音質ですが,低域寄りのチューニングのため相対的に中高域が弱く感じられます。 そのため素直ながらやや音に艶がなくまたスカッとしたヌケの良さが感じられません。 一方で解像感はかなりあり細かい音まで明瞭に聴こえます。 低域もこのサイズにしては伸びている方だと思います。

ということで,私としては相対的に高域が弱いことによるヌケの悪さが不満で,残念ながら常用にまでは至りませんでした。 装着感と使い勝手が良かっただけに残念です。

参考url: ゼンハイザージャパン 製品情報AV Watch 製品紹介記事

(記2012/01/03)



インナーホン audio-technica ATH-CM707

audio-technica ATH-CM707

ケーブル0.6m+延長0.6m Y字,プラグ ストレート(延長はL字) 金メッキ,16Ω,約6g

2010年12月10日発売。 定価9,975円で2011年2月時点での実売価格は6,000円前後。 インナーイヤー型としては高級機の部類にはいると思います。

音質ですが,フラットで癖が少ないのはオーディオテクニカらしいと言えます。 低域は控えめです。 どちらかと言えば高域寄りで,かなり硬質の響きが感じられます。 中域の盛り上がりは感じられず,嫌な癖のある響きもないので私としてはまずまず気に入っています。 音の硬さが許せるかどうか,控えめな低域でも不満がないか,あたりで好みかどうかが決まってきそうです。

ハウジングは若干大きめですが,取扱説明書に書いてある通り耳に上手く載せる感じに装着すると,そこそこフィットします。 ただ,耳の穴に押しつける感じではなく引っかける感じなので耳穴との間に少し隙間が出来ます。 これが低域の弱さにつながっているのかもしれません。

「精密切削アルミ合金と高弾性エラストマー素材のクランクブッシュで優れた装着感」とあり, 適度な重量感と質感の良さを持っていて,値段が高いなりのモノとしての魅力を備えています。 (冬場は装着したときの冷たさがちょっとつらいですが)

ケーブルは合計で1.2mのはずですが,つなげて実測してみると1.4m近くあります。 また,Y字の分かれた後の長さがやたら長く,MX500と比べてみると20cm以上長くてちょっと違和感があります。 いつもY字の付け根にダイソーで売っている携帯電話用イヤホンマイクから外したクリップを取り付けているのですが, クリップの位置が下になりすぎるので,二股に分かれてから15cmくらいのところで束ねて取り付けています。 また,ケーブルが短いので延長が必須なのですが,継ぎ目が鬱陶しく,また全長もちょっと長くなりすぎるので, 使い勝手的には今ひとつです。 ケーブルが絡みにくいのだけは助かっていますが。

ということで,使い勝手に少し不満はあるものの,音質は良好なのでしばらく継続して使ってみようと思っています。

参考url: audio-technica 製品情報AV Watch 製品紹介記事AV Watch レビュー

(記2011/02/19)



インナーホン JVC HA-FXC71/HA-FXC51

JVC HA-FXC71
HA-FXC71
JVC HA-FXC51
HA-FXC51

HX-FXC71 ケーブル1.2m Y字,プラグストレート型 金メッキ 16Ω 6.2g
HX-FXC51 ケーブル1.2m Y字,プラグストレート型 金メッキ 16Ω 4.4g

2010年6月発売。 私が苦手とするカナル(耳栓)型です(^^;。 トップマウント構造という,振動板が音筒部の先端に配置された特殊な構造になっているのが最大の特徴です。 FXC71とFXC51は見かけはほとんど同じですが,カタログスペック上では重量が異なるのと, 再生周波数帯域がFXC71は8-25,000Hz,FXC51は10-24,000Hzと異なっています。 内部の構造もFXC71の方が凝っていますし,カナル型特有のケーブルのタッチノイズに対する対策もFXC71の方が上のようです。

音質はどちらも癖が全くなく広帯域・高解像でスピード感があります。 変に響きが付加されたり色が付いたりすることがありません。 ヌケの良さも抜群です。 これは本当にいいかもしれません。

相対的な比較になりますが,FXC71は高域から低域までフラットで低域の量感がかなりあります。 FXC51はそれに比べると少し高域寄りで低域は弱め(というか普通),わずかに中域に凹みがあるように感じました。 あと,FXC71の方がわずかに緻密さというか密度感が高いように思いました。 帯域バランス的には低音の量感が控えめなFXC51の方が私の好みに合いますが,やはり緻密さに勝るFXC71の方が長期にわたって愛用できそうな気がします。

ということで,これは私にとってさしあたり当たりでした。 長期に使ってみないと本当に気に入るかどうかはわかりませんが,愛用候補に挙げるに十分な音質です。 それよりも,まずは私のカナル型に対する「苦手」の克服が先ですが(^^;。

参考url: JVCののオンラインカタログ HA-FXC71HA-FXC51HA-FXC71/51のスペシャルサイト

(記2010/10/23)



インナーホン Sennheiser MX880

Sennheiser MX880

ケーブル1.2m Y字,プラグL字型 金メッキ 16Ω,VOL付

2010年5月1日発売。 クラシックラインのMXシリーズの製品で, ゼンハイザージャパンのオンラインカタログではミドルクラスとされていますが, インナーホンとしては高級品に入ると思います(2010年9月時点でamazon.co.jpで6,950円という価格です)。 さらに上位機種としてMX980があり,これは2万円近くしますので,そういう意味ではミドルクラスと言えるかもしれません。

さて音質ですが,やや中高域寄りの腰高なバランスで,中域から高域にかけての特定の帯域(2〜4kHzあたりか?)に少し盛り上がりがあるのか,わずかに癖があります。 この盛り上がりのためか,良く言えば華やかで高解像に感じられたり,音に張りと艶が出ているようにも感じられますが, 特に弦楽器などではこの特性が裏目に出て癖が強調され不自然に感じられたりもします。 また,良くも悪くも残響が強調されるように作用するようです。

ハウジングは普通のサイズで形状も普通,装着感もまずまず良好です。 左側のケーブルの付け根に小さな突起があり,手探りで左右がわかるのはいいのですが,LRを示す刻印が小さくまた読みづらいので, このあたりは改善して欲しいところです。 ボリュームはスライドではなくリングを回す方式なので,スライドよりは操作がしやすいと思います。 質感は値段相応だと思いますが,ハウジングのケーブルの付け根のゴムの部分が安っぽく質感が良くなく,また, 手荒に扱うと外れてしまいそうな頼りない感じがするのはマイナスです。

とまあいろいろと書きましたが,音質としては高解像で明るく華やかであることは大変魅力的で大いに惹かれるのですが, 中高域の癖がほんのわずかに私の許容範囲を超えている感じがしています。 非常に惜しいです。 残念ながら常用するには至らないかな...というのが今のところの感想です。

参考url: ゼンハイザージャパンのオンラインカタログ

(記2010/09/29)



ヘッドホン SHURE SRH840

SHURE SRH840

密閉型,片出し3mカールコード(着脱式),3.5mmミニプラグ金メッキ,44Ω

2009年11月20日発売。 プロフェッショナル・モニター・ヘッドホン。 幸運にも知り合いから借りることが出来ました。 短時間の試聴ですが,取り急ぎ第一印象を報告します。

音質は素直で癖が少なく,低域から高域までほぼフラットに出ています。 密閉型にありがちな箱鳴り感もほとんど感じられませんし,ある程度の音の広がりも感じられます。 音像は頭よりも少し上に結ぶ感じがします。 第一印象としてはなかなか良い感じです。

装着感もまずまず良いのですが,ハウジングが耳の大きさぎりぎりで軽く耳に触れるので, 長時間着けていると少し気になってきます。 まあこれは良いとして,一番気になるのは重量です。 318gという重さがヘッドホンとして極端に重いのかどうかはわからないのですが, ヘッドホンの重心が頭の中心からずれるとその重量でグーッと頭がもたげられてしまい, ちょっとした頭の動きでふらついてしまいます。 そして長時間このフラフラ状態のまま着けていると,だんだん気分が悪くなってきます。 慣れの問題かもしれませんが,常用するには首を鍛える必要がありそうです。 体調の優れないときは使用を控えた方が良いかもしれません。 あくまでも私の場合ですが。

私のリファレンス機であるゼンハイザー HD25と聴き比べてみると, 音の広がり感はSRH840の方がはるかに感じられ,音の緻密さ,解像感は同程度(ただし,比べられないほどその感じは異なる), 音の素直さ,クリアさはHD25の方が僅かに良いか,と思います。 音色はの印象はSony MDR-CD900STに近いかな?

ということで,音質的には第一印象はまずまず良好ですが,好みで言えばHD25の方が好きかなと思います。 短時間の使用でまだまだ癖がつかみ切れていないので, もう少し聴き慣れてきましたらまた報告したいと思っています。

参考url: ヒビノインターサウンド(輸入代理店)のオンラインカタログ AV Watch 製品紹介記事

(記2010/03/04)



インナーホン AKG K313

AKG K313

ケーブル1.0m Y字,プラグストレート型 32Ω

2008年11月5日発売。 K315の下位機種で,ボリュームのスライダーがない,プラグが金メッキでない,といったところが異なります。 また,ハウジングやケーブルも安っぽい感じがします。 見た目はいい音がしそうにありません(^^;。

音質ですが,傾向はK315とほとんど同じで,ほんのわずかに能率が高いような感じがします。 ボリュームがないために,ロスが少ないのかもしれません。 このためか,K315と比較して聴くと,K313の方がわずかに鮮やかに聴こえるような気がします。

それで,単純に直流抵抗を測ってみました。 K315が約35Ω(2本調べほぼ同じ),K313が約33Ωで,2Ωほど低いことがわかりました。 これはあくまでも推測ですが,ドライバ部分(ボイスコイル)は共用しているでしょうから, この2Ωの差はボリューム部分でのロスではないかと考えています(ケーブルを切断して調べればはっきりしますが...(^^;)。

音だけ考えればK313の方が良いかもしれません。 私は,K315のあの格好悪いスライダーでもけっこう重宝しているので,用途に応じて使い分けようかと思っています。 音質は満足,外観・取り回しは不満,というところです。

なお,まったくエージングは出来ていませんが,使い込んだK315と比べても全く遜色のない良い音が出ています。

参考url: ハーマンインターナショナル(輸入代理店)のオンラインカタログ AV Watch 製品紹介記事

(記2010/03/03)



インナーホン AKG K315

AKG K315

ケーブル1.0m Y字,プラグストレート型 金メッキ,32Ω,VOL付

2008年11月5日発売。 カナル型全盛の今日においてはすっかり陰の薄くなってしまった普通のイヤホンです。 K314Pの後継機種ではないかと思います。 スペック表にはセミオープンタイプと書かれていますが, 外側にも開口部があって,このことを言っているのではないかと思います。

さて,まず音ですが...驚きました! まだ使い込んでいない第一印象ですが,実に癖のない素直な音です。 愛用のMX500との比較になりますが,中域重視のMX500に比べて, さらにフラット感があります。 そのためか,若干ドライな感じがします。 オープンタイプのイヤホンなので低域の量感はありませんが,それでも低域から高域まで綺麗に伸びていて,バランス良くまとまっています。 これを聴いた後にMX500を聴くと,逆にMX500の方に癖を感じてしまうくらいです。 また能率も高く,ポータブル機で使用しても十分な音量が得られる点も良いと思います。

取り回しに関しは,ケーブルの表面の滑りが悪く絡みがほどけにくい,ケーブル自体は柔らかいが癖が取れにくい, ボリュームのスライダー部分が大きすぎて邪魔(しかも格好悪い!),など,いくつか使いづらい点はあるものの,何とか許容範囲です。 個人的にはストレートプラグよりL字プラグの方が良かったのですが,これは好みの問題でしょうから仕方ありません。 Y字ケーブルというのはうれしいところです。 手探りでLRが判別出来るようにLch側に小さな突起があるのもいいと思います。 装着具合も,少なくともMX500よりは良好かなと思います。

外側に開口があるため音漏れはやや大きいかもしれません。 この開口部を手で塞ぐと音質がものすごく変わります。 この開口部が素直な音質に寄与しているのは間違いなさそうです。

まだ第一印象レベルで癖が把握できていませんが,今のところすごく気に入っており, MX500に匹敵する良好な音質であると感じています。 しばらく使用して再度レポートしたいと思います。

参考url: ハーマンインターナショナル(輸入代理店)のオンラインカタログ AV Watch 製品紹介記事

(記2009/12/28)

その後2ヶ月ほど使っています。 音に関してはとても満足しています。 最近はMX500よりも使用頻度が増えています。 取り回しに難があるなど不満はゼロではありませんが, これは当たりだったと言えます。

(記2010/03/03)



ノイズキャンセリングヘッドホン Sony MDR-NC500D

Sony MDR-NC500D

ケーブル1.5m 片出し,プラグ L型,40Ω

ソニーのノイズキャンセリングヘッドホンで,デジタル方式を搭載した世界初の機種ということです。 密閉型で耳を覆うタイプです。 2008年4月21日の発売で,すでに生産終了,現在は後継機種のMDR-NC600Dが発売されています。 今更ですが,旧機種をお借りできましたので,レビューします。 主に装着感と音質について述べます。 ノイズキャンセル性能,その他付属品等や使用感については参考urlをご参照下さい。

まず装着感ですが,かなり固めイヤーパッドでどうかなと思いましたが,意外に良好で,耳を覆うタイプということもあって長時間使用しても疲れにくいです。 低反発素材を使っている効果かもしれません。 人工皮革の肌触りも悪くありません。 側圧は若干強めですが,許容範囲です。

さて,肝心の音質ですが,どちらかと言えば中低域重視の音作りです。 高域は弱めですっきりと伸びる感じがなく,若干こもり気味です。 また,ハウジングのせいなのか,少し箱鳴りのような癖のある響きも感じられます。

音作りとしてはそんなに悪くはないのですが,こもり感と箱鳴り感が気になり,残念ながら音質的には私には合いませんでした。 せっかくデジタル処理があるのだから,“箱鳴りキャンセリング”もやって欲しいところです。 装着感はとても良かったので,音質が好みに合わないのはちょっと残念です。 もっとも,高価なヘッドホンなので,とても私には手が出せませんが。 なお,音質に関して,Web上では概ね好評であり,否定的な意見はほとんど見あたらなかったことを付け加えておきます。

あと気になった点としては,電源をONしないと使えないことです。 つまり,ノイズキャンセルをONにしないとヘッドホンとしての役割を果たしません。 まあそういうヘッドホンなのですから仕方ありませんが。

参考url: ソニー MDR-NC500D 製品情報スペシャルコンテンツ開発者インタビューAV Watch 製品紹介記事AV Watch 本田雅一のAV TrendsITmedia レビュー記事

(記2009/12/22)



ヘッドホン Sennheiser HD238 Precision

Sennheiser HD238

ケーブル1.4m 片出し,プラグ ストレート,32Ω

オープンエアで耳載せタイプのコンパクトなヘッドホン。 発売は2009年4月。 2009年11月現在の実売価格約7,000円ということで,ゼンハイザーとしては初級クラスの製品かと思います。

造りはゼンハイザーらしく安っぽいところがありますが,まあ値段相応というところでしょうか。 イヤーパッドは厚めのスポンジで,布?で覆われ,耳にあたる部分は薄い人工皮革になっています。 スポンジは柔らかく,耳には良くフィットしますが,耐久性はどうなんだろう?と少し心配です。 ケーブルが細くて頼りないのがマイナスですが,ポータブル用途も考えるとこれくらいが適切というところなんでしょうね。 私は屋外では使わないので不満ですが。

次に装着感ですが,これがなかなか良好です。 柔らかいイヤーパッドがすごく良い感じで耳にフィットします。 軽くて側圧も弱く,長時間使用していても全く疲れません。 快適です。

そして肝心の音です。 20時間くらい使用しての感想ですが,第一印象としてはやや低域よりのバランスで高域が弱め, 低域から高域に向かってなだらかに減衰しているようなイメージで,癖のない素直な音質ですが, 高域が弱い分,若干ヌケの悪さを感じます。 解像感は高いというほどではありませんが,そこそこはあります。 音の広がり感もまずまずというところでしょうか。

変な癖がないという意味で素性は良いので,もう少し使ってみようという気にはなるものの,やはり高域が少し弱いというところが不満です。 Web上での評判を見ていると,100時間くらい使用していると中高域のこもり感が改善するとのレポートもありますので, もう少し使用してから再度報告したいと思います。

参考url: ゼンハイザージャパン 製品情報AV Watch 製品紹介記事

(記2009/11/21)

その後,約1ヶ月使ってみました。 途中経過です。 使用時間はカウントしていませんが,音を鳴らしている時間は40時間程度かと思います。 今のところ当初の印象とほとんど変わりません。

あとわかってきたこととしては,音源によってまあまあに聴こえるものと駄目なものがあることです。 ポピュラー系は比較的ましです。 クラシック系でも残響が多めで音がくすんでいたものは,さらに悪く聴こえます。 どうも音源の帯域バランスに依存しているようで,中低域にブーミーな音や余分な響きのあるものは, それが強調されて悪化するように感じられます。 もう少し使ってみて,再度レポートします。

(記2009/12/21)



ヘッドホン audio-technica ATH-ON3

audio-technica ATH-ON3

ケーブル1.2m Y字,プラグ ストレート 金メッキ,32Ω

店頭で見た瞬間に,「あぁ,これ欲しい!」と思って思わず買ってしまいました。 こういう小さい耳載せタイプのヘッドホンが前から欲しかったんです。 値段も安かったので。

で,音を聴いてみて...あぁ,買うんじゃなかった...失敗... 高域の抜けが信じられないくらい悪く,モゴモゴしています。 全くスピード感のない締まりのない音にガッカリしました。 エージングはしていませんが,そんなことで良くなることが期待出来るレベルではありません。 素性が悪すぎます。 (低域はあまり出ませんが,これは私としては全く問題ないのですが)

ついつい試してみたくなるオーディオテクニカのヘッドホン,自分の好みに合っていないとわかっているのに... すっきりした抜けの良い音,癖のない素直な音,そんなに作るの難しいですか? それとも私の耳がおかしいだけ? 装着感がまずまず良いだけにすごく残念です。 左右の表記がないのはNGですが(左にポッチがあって触るとわかるようになっているのですが,いくらデザイン重視でも表記がないのはUD的に駄目でしょう)。

参考url: audio-technica 製品情報AV Watch 製品紹介記事

(記2008/07/10)

音が全く気に入らなかったのでずっと放置していたのですが,ソニーのポータブルプレーヤ(NW-A847)には5バンドのイコライザをカスタムで設定する機能があるので, もしかしたら調整したら使えるのではないか,と試してみました。 その結果,1kHzを-1,6.3kHzを+2,16kHzを+3くらいに設定(つまり中域を下げ,高域を上げる)すると, まずまず使えそうな帯域バランスになることがわかりました。 プレーヤにそういう調整機能があるなら,積極的に使ってみても良いかもしれません。 (でもこのソニーのプレーヤは私のではないんです...)

(記2009/11/21)



インナーホン audio-technica ATH-CM7TI

audio-technica ATH-CM7TI

ケーブル0.6m(延長コード1.0m付属) U字,プラグ ストレート 金メッキ,16Ω

2003年11月21日発売,現在は生産されていません。 オーディオテクニカの1万円を越す高級インナーホン。 チタン削り出しボディやアルミ削り出しプラグなど,高級感があります。 さらに,再生帯域上限が45,000kHzと飛び抜けたカタログスペックを持っています(このためか,日立マクセルのヴレソンという高音質化ヘッドホンに派生モデル?が使われていました)。 兄弟機種はATH-CM7, 後継機種はATH-CM700TiATH-CM700)でしょうか。

まず装着感ですが,これが私の耳には全然フィットしません。 音がしっかり聴こえるようにハウジング部を耳の穴にぴったりくるようにすると棒の部分が浮いて不安定になり, 逆に棒の部分が浮かないように安定させようとすると逆にハウジング部が浮いてしまい,これはこれで不安定になります。 ケーブルがちょっと動くだけでポジションが変わってしまいます。 ハウジング部が回転して装着感をコントロールできるようになっていますが,私にはほとんど効果がありませんでした。

音質ですが,ハウジングが耳の穴にぴったりくるようにした場合はまずまずバランスの取れた帯域バランスになります。 やや高域寄りで低域はあまり出ていません。 高域はややきつめで刺激的ですが,抜けは良く,解像度もあり,すっきりとしていて私の好みには合います。 しかし,前述したように装着が安定せず,普通に使っていてもすぐにベストポジションがずれてしまいます。

また,ケーブル0.6mというのも中途半端です。 ポータブルCDやポータブルMDで中間リモコンがあった頃の名残だと思いますが,リモコンのないメモリプレーヤには今ひとつそぐいません。 U字タイプというのも私の好みには合いません。 (ケーブルに関しては後継モデルのATH-CM700Tiでは1.2mのY字タイプと改善されています)

とにかくこの機種は音質以前に私の耳にフィットしないのが最大の問題です。 音の素性は嫌いではないので残念です。

参考url: audio-technica 製品情報AV Watch 製品紹介記事

P.S. 本製品は所有していません。 借用品による試用インプレッションです。

(記2008/02/26)



インナーホン AKG K314P

AKG K314P

ケーブル1.15m Y字,プラグL型 金メッキ,17Ω,VOL付

2007年3月頃発売。 AKGのオープン型の中では高級機種になります。 価格は4,000円前後とやや高めです。 デザインは見ての通りクラシックな形状をしています。 兄弟モデルとしてK312P,K310Pがあります。 K14Pというモデルの後継らしく, この前モデルは2ちゃんねるの「低価格でナイスなイヤホン」というスレッドで「安価なオープン型イヤホンの四天王」と呼ばれ, 定番機種になっていたようです(Sennheiser MX500(MX400), AKG K14P(K12P), Sony MDR-E931, Philips SBC-HE580(SHE-775)の4機種)。 ただ,このモデル自体はあまり話題になっていないように思います。

音質は中高域はすっきりと,また,低域もそこそこ出ていて,全域にわたってバランス良く出ています。 変な癖もほとんどありませんし,抜けも悪くありません。 愛用のMX500と比較すると,ほんのわずかにドンシャリ傾向で派手な印象を受けますが, あくまで適正な範囲内だと思います。 解像感も引けを取らず,見劣りしません。 能率もMX500より若干高く,ポータブル機でも十分な音量が得られます。 オープンタイプなので,音漏れは結構あります。

ハウジングはMX500に比べると若干小さめで,私の耳に程良くフィットし安定します。 MX500に比べて低域が伸びて解像感も引けを取らないのは,このためではないかと思います。 ケーブルはやや張りがあって,癖はつきにくいです。 表面が少し滑りが悪いので若干絡みますが,素直なY字型なのでマシな方です。 あと,左右非対称の形をしているので,手探りで左右の判別が出来るのも長所として挙げられます。 MX500のような安っぽさはありません。

MX500に匹敵するとまでは言わないまでも, 素性はなかなか良いと思います。 私にとっては,耳に良くフィットする分MX500に勝っている部分もありますので, しばらく常用インナーホンの1つに加えて使ってみることにします。 またそのうちに再レビューします。

インナーホンの場合,その基本性能ももちろん重要ですが, それと同じくらい自分の耳に合うかどうかも音として非常に重要であることを認識しました。

参考url: AKG 製品情報ハーマンインターナショナル(輸入代理店)のオンラインカタログ AV Watch 製品紹介記事

(記2008/01/18)

蛇足ですが,これもMX500同様,FOSTERのOEM?(022216)。 ハウジングの形が似ているように見えます...(全く自信なし...スペックも違いますね...違ったらごめんなさい)

(記2008/01/21)

かなり長期間使ったのですが,結局のところ,ごくわずかな中域の癖とごくわずかな高域不足で使用をあきらめました。 確かに素性は悪くなかったのですが,ほんのわずかな癖を許すことが出来ませんでした。

(記2009/12/28)



インナーホン Sennheiser MX51 Street

Sennheiser MX51 Street

ケーブル1.2m Y字,プラグL型,64Ω

日本国内では,2006年9月に発売されたMXシリーズの新モデル(もう旧モデル?)で,Style-Line, Sport-Line, Street-Lineというシリーズがあり, その中のStreet-Lineの1モデル(ちなみに,MX500のシリーズは,Classc-Lineとして本国のWebサイトのカタログにはまだ載っています)。 価格は,某量販店で3,000円弱でした。 このMX51 Streetは新しいMXシリーズの中ではベーシックな形状をしています。

愛用のMX500との比較になりますが,音の傾向としては似ているものの, バランス的にはかなり中低域寄りになっています。 印象は悪くありませんが,やや暑苦しく,音の抜けの良さ,解像感,音の艶やかさという点ではMX500に一歩(二歩?)譲ります。 すっきりしていません。 能率はMX500よりも若干高めに感じます。 ポータブル機でも問題なく音量が取れています。

ハウジングがやや大きめで,私の耳にはあまりフィットしませんが,ケーブルに触れさえしなければ何とかポジションを維持できています。 ケーブルはY型で,やや細めで柔らかいのですが,巻き癖がなかなか取れず,また全く絡んだことのないMX500に比べると少し絡みやすいです。 コネクタはL字型で,金メッキはされていません。

で,一つ苦情が... 購入してパッケージを開けてみると,ケーブルのY字の分岐部分のところで被覆が破れ,中の線がむき出しになってしまっている不良品でした(怒)(写真)。 パッケージを開けたときには,すでに購入店の遙か彼方だったので,交換はあきらめ,アセテートテープで巻いて保護して使っています。 品質管理をしっかりして欲しいものです。

ちなみに,本国のカタログでは,MX*60シリーズ(MX160〜MX760)が載っています。 新製品でしょうか? 日本でも手にはいるようになったら試してみたいと思います。 でも,今もってベスト機種であるMX500はいつまでも残して欲しい...

参考url: Sennheiser 製品情報ゼネラル通商(輸入代理店)のオンラインカタログ

(記2007/12/28)



ヘッドホン audio-technica ATH-OR7

audio-technica ATH-OR7

オーディオテクニカの密閉型のようで実は空気抜きのような小さな穴があって完全な密閉型ではない(でもやっぱり密閉型に近い),携帯向きのヘッドホン(2006年10月20日発売)。 定価\22,050もするので,携帯向きとしてはかなり高価な部類に入ると思います。 重量が130gということで,かなり軽量です。 マグネシウム材質のアームが使われており,持った感じがすごく軽く,また,造りも建て付け?も悪くありません。 このあたりはさすがオーディオテクニカです。

音質ですが,やや中高域に偏っており,低域はかなり薄く感じます(締まりのある低音が確かに出ているのですが,相対的にレベルが低めに感じます)。 そのせいもあって,かなり軽く,やせ気味の音質という印象です。 音作りのバランスとしてはそれほど悪くなく,低域の量感,厚みを求めなければ,かえって聴きやすい,聴き疲れしにくいとも言えますが, 少し音量を上げ気味にしないと物足りない感じもします。 高域はすっきりと伸び,解像感も高いです。 また,音の広がりもそれなりにあって,閉塞感もほとんどなく,比較的自然な音場が好印象です。 私としては,嫌いな音作りではないのですが,もう少し低域をバランス良く出してほしいかなと思います。 また,中域(やや高めの帯域)に空洞共振(?)のような癖のある響きがごくわずかですが感じられるのが不満として残ります。

音圧はやや低めで,携帯プレーヤでは音量が確保しにくい場合があるかもしれません。 私の持っているプレーヤとの組み合わせでは,音量はぎりぎりというところですが, 音が少々やせ細り気味に聞こえて,ヘッドホンアンプで聴いたときよりも少し印象が落ちました。

装着感は,小型ながら耳載せではなく覆うタイプなので,若干装着しにくいというのはありますが,装着してしまえば至極快適です。 イヤーパッドの材質も厚めの合成皮革?で安っぽくなく,感触も悪くありません。 軽いので,長時間の装着も疲れにくいです。

ケーブルはやや細めで少し頼りない感じがします。 携帯向けとはいえ,もう少し価格相応のもう少ししっかりしたものにして欲しいところです。

ということで,多少の不満はあるものの,総合的には良く出来たヘッドホンだと思います。 今までヘッドホンにジャンル適性があると思ったことはほとんどなかったのですが,これに関しては, クラシック系は今ひとつ,ポピュラー系は良好という印象です。 中域の癖がなく,もう少し帯域バランスが良ければ常用したいくらいです。 惜しいです。

参考url: オーディオテクニカ ATH-OR7 製品情報

P.S. 本製品はいつもお世話になっているK.N.さんより借用しました。 有り難うございました。

(記2007/10/11)



インナーホン Bose TriPort IE Headphones

Bose TriPort IE Headphones

ケーブル1.29m Y字,プラグ ストレート型,インピーダンス非公開

2006年12月1日発売。 国内では単に「インイヤーヘッドホン(in-ear headphones)」と呼ぶようです。 このインナーホンの特徴などは下記の参考urlをご参照下さい。

私が最初にこのインナーホンを聴いたとき,あまりに高域がこもってまともな音に聴こえないので, こんなひどい音質で出すとはボーズは一体どうなっているんだ,と呆れてしばらく放置していました。 ある時,思い出して聴き直してみると,前とは全く印象が異なりそこそこの良い音質だったので不思議に思いしばらく使っていたのですが, やはり音質が全く異なって聴こえることが度々起こりました。 エージングが足りないのか,装着が良くないのか,いろいろ試行錯誤したのですが, 結局,接続する機器によって全く音質が変わってしまうということがわかりました。 この機器毎の音質の変化は半端ではありません。 中には「どう考えてもおかしい」と思うほど高域が減衰してしまう機器もあります。

私の聴いた限りでは,「これなら使ってもいい」と思える音質で聴けたのは, 私の持っている2つのヘッドホンアンプ(CEC HD53R Ver.8.0ESI Dr.DAC)だけでした (ただしこの2つの間でも,他のインナーホンで感じる差よりも大きな差を感じました)。 これらのヘッドホンアンプでは,多少エネルギーが低域に偏っているものの, 高域が減衰している感じはなく,比較的帯域バランスが良く聴こえました。 (以降,これをリファレンスの音質として話を進めます)

最もひどかったのはアンプ(Panasonic SU-MA10)のヘッドホン端子で, 高域の減衰が著しく,とても使用に耐えうる音質ではありません。

このインナーホンが本来ターゲットとしているポータブルプレーヤでは, あまり気にならないものから全く駄目なものまで千差万別, どれ一つとして同じ音質に感じるものはない,というくらい幅がありました。 いずれにしても,ヘッドホンアンプのようにすっきりと聴こえるものは, 残念ながら試した中では一つもありませんでした。

なぜこれほどまで機器毎に音質が激変するのか。 その原因は,新開発と謳っている「パッシブイコライゼーション」回路にあるのではないかと推測しています。 この回路はプラグの根本に組み込まれています(AV Watchの記事参照)。 おそらく抵抗とコンデンサによるパッシブフィルタではないかと思いますが, パッシブなので接続する機器側の出力インピーダンスの影響をモロに受けます。 そして,その出力インピーダンスとパッシブイコライザの結合によってカットオフ周波数の著しく低いローパスフィルタが構成されてしまい, 高域が減衰して曇った音になってしまうのではないかと推測します。

アンプの出力インピーダンスは,理想的には0Ωで,おそらくヘッドホンアンプはこれに近いのだろうと思います。 一方プリメインアンプのヘッドホン端子はゲインを落とすために直列に抵抗が入っていること多く(SU-MA10は330Ωの抵抗が直列に入っている), また,ポータブルプレーヤでもパッシブイコライザにとって無視できないくらいの大きな出力インピーダンス値を持っているのではないかと思います(例えばD級アンプでは出力段に高周波カット用のLC回路が入っている)。 これらの出力インピーダンスが機器によって様々な値をとるため,機器毎に音質が大きく変わってしまうのではないかという推測です。

いずれにせよ,普通のインナーホンよりも機器相性問題があるということは間違いありません。 ボーズの製品情報に,「本製品はポータブルオーディオプレーヤー専用に設計されております。 その他の再生機器では最適な音質が得られない場合があります」との注意書きがあるのですが... ちょっと違う気がします。 ご購入を検討されている場合は,使用する機器との相性を事前にご自分の耳で確認されることをお勧めします。

参考url: BOSE 製品情報AV Watch 製品紹介記事

(記2007/04/05)



インナーホン Sennheiser MX500

Sennheiser MX500

ケーブル1m Y字,プラグL型,32Ω,VOL付

ゼンハイザーのインナーホンには,MX500,MX400,MX300というシリーズがあり, また,2004年12月には,この後継機種としてMX550,MX450というシリーズが発売されました(PC Watchの記事)。 MX300は現在輸入代理店のカタログから消えています。 後継として発売されたMX550とMX450はすぐに姿を消し(でも本国ではまだカタログに載っています),一時期姿を消していたMX500とMX400が現在では店頭に潤沢に並んでいます(MX500はホワイトもあるようです)。

MX500のシリーズについては,2004年1月11日の編集日録「ゼンハイザー(Sennheiser) ヘッドホン試用記」の中で一度インプレッションを紹介しています。 また,MX450については,2005年3月7日の編集日録「ゼンハイザーのインナーホン MX450を聴く」で紹介していますので,合わせてご覧いただければと思います。 MX450の音に落胆し,これはMX500を確保しておかなければということで,秋葉原で「MX500は置いていませんか?」と聞いて回り, 店員さんから「にいちゃん,もう旧機種だからどこ探しても売ってないよ」と言われ,暗い気持ちになったことを今でもよく覚えています(^^;。

MX500は,ケーブルの途中にスライド式のボリュームが付いています。 MX400はボリュームがなく,音についてはMX500とほとんど変わらないと言われており,実際,私も同じ印象でした。 ケーブルは左右の長さが同じY字型です。 音の出る部分は樹脂で覆われており,小さな穴がポツポツと空いているだけで,これでまともな音が出るのかと少し不安になります。 コネクタ部分はL字型です。

音は,以前のインプレッションでも書いたとおり,帯域バランスの良さ,中域の解像感の高さが際立っています。 派手な音作りではありませんが,私の常用しているHD580と音色の傾向が似ているので(もちろん帯域もクオリティも全く異なりますが), 違和感なく使用できるところが気に入っています。 で,なぜ今また再びインプレッションを書いているかというと,2004年当時から使い続けてきたものと,最近手に入れたものとを聴き比べてみると, 少し音が違ったからです。 古いMX500に比べて新しいMX500は,明らかに高域の出方が異なっています。 全体の音色の傾向を保ちながらも,新しいものの方が高域が良く出ているのです。 多少刺激的になったきらいはありますが,高域がそれなりに出ている方が好きな私にとっては,新しいものの方がスキッとして好ましく感じました。 なお,この音色の差が,古いMX500の元々の音なのか,経年変化によるものなのか,新しいMX500のエージング不足によるものなのか, 今ひとつ判然としません。 もう少し使い込んだら再度比較してみたいと思います。

ハウジングが大きく,相変わらず耳に今ひとつフィットせず,そのまま使用しているとポロポロと耳から落ちてしまうのは変わりありませんが, とある他社インナーホンに付属してたクリップをY字の根元に付け,胸元で止めるようにし,ケーブルの重みが直接耳にかからないようにしたところ, この不満はほぼ解消されました。 同じ悩みを持っておられる方は,是非試していただきたいと思います。

ケーブルの質感は以前とほとんど変わらず少し固めです。 不思議なことに,このMX500を使用していて,ケーブルの絡みを経験したことがほとんどありません(ソニーのインナーホンでは逆に絡まなかったことがないくらいなのに...)。 これは,このケーブルの材質とY字型であることが効いているのではないかと思います。 コネクタのメッキも変わりません。 接触不良が気になるのでこれは是非改善して欲しいところです。

ということで,MX500はいまだに私にとってベストのインナーホンであり,ポータブルプレーヤで聴く際に愛用しています。

確かな情報かはわかりませんが,MX500はフォスターの040569のOEMではないか2ちゃんねるに書き込みがありました。 その可能性はあると思います(もちろんゼンハイザー向けに音質チューニングしてあるということも考えられます)。

参考url: Sennheiserゼネラル通商(輸入代理店)のMX500オンラインカタログ

(記2006/06/07)



ヘッドホン Ultrasone PROline 2500

Ultrasone PROline 2500

ドイツのウルトラゾーネ社のハイエンドの開放型ヘッドホンです。 この会社の製品は,ヘッドホンでありながら自然な音場を実現する「S-LOGIC」と, 電磁波の放射を低減する「ULE(Ultra Low Emission)」を売り物にしています。

ドライバユニット部分が少し特殊な構造をしていますので,そのドライバユニット部分の写真を載せます。 通常のヘッドホンではハウジングの中央に配されるドライバが,中央ではなく前方下部に位置しています。 また,金属板がカバーとして取り付けられています。 このドライバの配置とカバー構造によって,S-LOGICの効果を得ているものと思われます。 代理店であるタイムロードの方の話をうかがう機会があったのですが,この構造は,S-LOGICによる自然な音場感を得るという効果とともに, ドライバからの音圧が鼓膜をダイレクトに叩かないので,長時間大音量にさらされるようなプロの方の健康を損なわない効果もねらっているとのことでした(プロの方々の健康を気遣っているということをしきりにアピールされておられました)。 金属板は電磁波遮断のためだと思います。

音質は,どちらかといえばドンシャリです。 特に低域側の帯域感があります。 音色は固くシャープですが,潤いには欠けます。 音場は,耳元で鳴っているような感じは確かになく,S-LOGICの効果が認められますが, 驚くほど自然かというと,そこまではいかないというのが正直なところです。 シャキッと聴こえるポピュラー系には向きますが,響きの薄くなる(中域が薄いため?)クラシック系,アコースティック系には向かないと感じました。

能率がやや低めなので,ポータブル機器では十分な音圧が得られない可能性があります。 音漏れは盛大です(試用した中では最も大きい)。 遮音性もほとんどありません。

装着感ですが,ビロード調の布で覆われている厚く固めのイヤーパッドの感触は良いのですが, ハウジング形状が真円形であり,装着すると部分的に力がかかり(逆に後方に隙間が出来てしまう), 感触と位置決めのしやすさは悪くないものの,フィット感は良いとはいえません。 これはものすごく惜しいです。

本体はブルーの樹脂製で,安っぽいといえば安っぽいのですが,重量感ある頑丈な造りは好感が持てます。 ケーブルは,ストレートとカールの2本が付属されており,本体にはねじ込み式のミニプラグで接続するようになっています。 これも質感は良くありませんが,太い丈夫なケーブルで安心感があります。 イヤーパッドもスペアが付属しています。 取り外しが容易ですが,まともなロック機構がなく,取り回している最中にもポロッと外れてしまうので, これはもう少しきちんとはめ込むようになっていて欲しいところです。

私のリファレンス機であるゼンハイザーHD580と比べると,帯域バランスが正反対,得意なジャンルも全く異なります(HD580でポピュラー音楽を聴くと少しうるさく感じられます)。 ポピュラー中心に聴くならこの選択もあり得ると思いますが,どちらも聴きたいとなると,やっぱりHD580を選んでしまいます。 でも,併用するならこれくらい大きくキャラクターの違う製品を選んだ方が良いかもしれません。

参考url: Ultrasone社のPROlineシリーズのページタイムロード(輸入代理店)のPROline 2500オンラインカタログページ

P.S. 本製品は所有していません。 借用品による試用インプレッションです。

(記2006/04/04)



ヘッドホン audio-technica ATH-A900LTD

audio-technica ATH-A900LTD

オーディオテクニカの中級の密閉型ヘッドホンATH-A900の限定版です(2005年11月25日発売)。 ベースモデルATH-A900からの変更点は,本モデル用に設計されたドライバユニットが採用されている(最上級機に使用されているダイヤフラム(振動板)が使用されているとのこと), ケーブルが片出しの布巻きから左右両出し・独立アースの高弾性エラストマーシースに変更されている, イヤーパッドがクラリーノ製に変更されている, ハウジングのカラーリングがブルーから濃いめの鶯色?に変更されている,といったところです。

音質ですが,ATH-A900で気になったハウジング内で響いて鳴っているような独特の癖はほとんど感じられず, 奥まることなく前に張り出すようにくっきりと聴こえてきます。 空間性はやや狭くなりますが,私としてはこの方が好ましいです。 音圧も少し高めです(カタログスペック上も2dB高い)。

装着感も,イヤーパッドの材質が良くなっていて感触が良く,形状も少し違うのか,ATH-A900よりフィットします。

ケーブルは,被覆が布巻きからエラストマーシースという材料に変わっています。 質感は布巻きの方が好きなのですが,ねじれが気になりにくく,取り回しという点ではこちらの方が良いです。 両出しについては気になりません。

ということで,ベースモデルのATH-A900よりも,音質も質感(イヤーパッド)も向上していると思います。 値段が高いだけのことはあります(でもやっぱりちょっと高い)。 これなら常用してもいいかなと思いました。 これが限定版というのは残念です(こちらにモデルチェンジすればいいのに...)。 せめてイヤーパッドだけでもベースモデルで使えるようにしてほしい (使えるのかな?...でもこれを一回聴いてしまうとますますベースモデルに手が伸びない...)。

参考url: オーディオテクニカのATH-A900LTDオンラインカタログページ

P.S. 本製品は所有していません。 借用品による試用インプレッションです。

(記2006/03/17)



ヘッドホン audio-technica ATH-A900

audio-technica ATH-A900

オーディオテクニカの中級の密閉型ヘッドホンです(2002年10月発売)。 「アートモニターヘッドホン」という愛称が付けられており,このシリーズの最上位になります(さらにWシリーズという高級モデルがあります)。 オーディオテクニカはたくさんの機種をラインアップされており,どれを選ぶか本当に迷ってしまいますが, 手の届く範囲で,クラシック中心に出来るだけオールマイティに使えそうなもの,ということで,これを選びました。

低域の量感,レンジ感はあまり感じられませんが,出ていないわけではなく,すっきりと引き締まって聴きやすいと思います。 中高域では独特の響きが感じられ,透明感はありますが,音色にわずかな色づけが感じられます。 このためか,弦楽器などはすごく艶のある音になります。 解像感は高く,音の細かい部分まで聴き取りが可能ですが,かといって耳に突き刺さってくるようなところはなく, 適度な音場感,空間性を伴って聴こえますので,音楽を素直に楽しむことが出来ると思います。 密閉型ですが,こもった感じはしません。 ただ,中高域の癖は密閉型だからかもしれません(自信なし)。

「3D方式ウィングサポート」という方式で,無調整で装着することができ,側圧も適度でイヤーパッドの接地面積も大きく, 耳もすっぽりと覆われるため,装着感は悪くありません(が,特に良いという感じでもありません)。 ただ,なぜかしっくり来るポイントを探すのには少々苦労します。

全体の質感は値段相応で悪くありませんし,丁寧に作られていることに好感が持てます。 ケーブルは片出し,やや太めの布巻きで,扱いやすいかどうかは別として,感じが良いです。 コネクタもミニプラグ+ねじ込み式標準プラグアダプタの2Way方式で,これも良いです。 イヤーパッドは薄っぺらく安っぽい人工皮革なので,これはあまり印象良くありません(Wシリーズのイヤーパッドが使えるなら取り替えたいけど,取り付けられるのかな?)。 能率はそこそこあり,ポータブルプレーヤでも十分使えそうです。 ハウジングが大きく,また,全体の作りがごちゃごちゃと複雑なのが難点ですが, こればっかりは仕方ないところでしょうか。

ということで,なかなか良いヘッドホンだと思うのですが, わずかとはいえ中高域に感じられる癖(これがオーディオテクニカの音なのかもしれませんが)が気になり, 常用するに至っていません。

参考url: オーディオテクニカのATH-A900オンラインカタログページ

(記2006/02/12)



ヘッドホン Sony MDR-7509

Sony MDR-7509

ソニーのプロ用モニターヘッドホン。 国内では販売されていないようで,私はamazon.comのマーケットプレイス経由で手に入れました。 側面に青のラインで「プロフェッショナル」とあるところなど,見た目は国内でも取り扱いのあるMDR-7506に似ていますが, 外形,スペックからMDR-Z900の兄弟機ではないかと思います(MDR-Z900は未聴なので差はわかりません)。

音はフラットで癖がありませんが,低域の量感,レンジ感がものすごくあります。 ドンフラット(なんじゃそりゃ?!)という感じでしょうか。 素直で聴きやすい音ですが,ソースによっては低域が中高域にかぶって鬱陶しく感じられることもあります。 モニターヘッドホンということで,ソースの細部まで見通せる解像感の高さは感じられますが, MDR-CD900STのようなキツさというかシャキッとしたところまではいきません。 音像はやや奥まった感じで,広がり感というか音場の再現性も少しはあり,MDR-CD900STに比べれば音楽を楽しむという点ではこちらの方が向いているかもしれません。

イヤーパッドは厚みがあり,ちょうど耳がすっぽりと覆われて押さえつけられることがないので,装着感はかなり良好です。 側圧はやや強めですが,イヤーパッドの接地面積が大きいので長時間の使用でも苦になりません。

全体の質感は値段相応で,作りもしっかりしていると思いますが,イヤーパッドの表面の材質が安っぽく薄っぺらい人工皮革?で, すぐにボロボロになりそうで今ひとつです。 折りたたみ式で収納性に優れること,ケーブルがカールコードで扱いやすいこと,プラグがミニプラグ+標準プラグアダプタであること,など, 使い勝手の面ではかなり良いと思います。 能率もそこそこ高く,非力なポータブルプレーヤでも十分な音量が取れます。

音が素直で装着感・使い勝手も良く,ゼンハイザーHD580に続く2台目のリファレンス機として使いたかったところですが, 低域が中高域にかぶってしまうところが我慢できず,今のところ常用するに至っていません。 もう少し音の傾向がMDR-CD900STに近ければ文句なしというところだったのですが...惜しいです。 アンプとの相性もあるでしょうし,使い込むとまた音が変わってくる(私の耳も順応する?)かもしれませんので, 時々引っ張り出してもう少し使ってみたいとは思っています。

参考url: ソニー(U.S.)のMDR-7509オンラインカタログページ(※なくなっています)

(記2006/02/03)

上記MDR-7509のリンクが切れているので調べてみると,なんとMDR-7509HDに変わっているではないですか! そういえば国内では,MDR-Z900の後継としてMDR-Z900HDが発売されていました。 きっと同時にモデルチェンジしたんですね。 どちらも周波数レンジが〜80kHzになっています。 (ちょっとショック...)

参考url: ソニー(U.S.)のMDR-7509HDオンラインカタログソニーMDR-Z900HDオンラインカタログ

(記2006/06/07)



ユニバーサルプレーヤ Marantz DV6500

Marantz DV6500

2004年7月に発売された,中級のユニバーサルプレーヤです。 SACDやDVDが増えてきたために,CDプレーヤからの乗り換えということで導入しました。 中級といってもマランツとしては初級機かもしれません。 フロントパネルのデザインはさすがにマランツらしい立派な面構えですが, 筐体自体はそれほどしっかりしておらず,持ち上げると非常に軽くて中身がスカスカの感じがして, 趣味のオーディオ機としての質感,「モノ」としての魅力はそれほど備えていません。 このクラスの製品にそんなところを求める方がおかしいと言われればそれまでですが。

プレーヤとしての音の善し悪しは正直言ってよくわからないのですが, 前機種(KENWOOD DP-7060)から乗り換えて特に違和感なく,今のところ音に関しての不満は特にありません。 ただ,アナログ出力に曲間で「プッ」とかすかに異音が入ることがあり,これがちょっと気になっています(デジタル出力には入っていません)。 いつも発生しているわけではなく,どういう条件で発生するのかまだ解明出来ていません。

使い勝手もいくつか不満があります。 一点目は,再生中の表示が時間表示しか出ず,再生中のトラック番号がわからないことです。 トラック番号表示は,操作したときとトラックの切り替わり目しか表示されません。 些細なことですが,これは非常に使いにくいです。 ぜひ改善して欲しいところです。

二点目は,操作の作法がDVD系になっており,従来のCDプレーヤの感覚で操作すると思うように動作してくれないことです。 例えば早送り(早戻し)。従来のCDプレーヤなら,早送りボタンを押している間だけ早送りされ,ボタンから手を離すと再生に戻ってくれたのに, このプレーヤは,早送りボタンを押す毎に早送りスピードが速くなる方式で,再生に戻すには「再生」ボタンを押す必要があります。 少しだけ送りたいとき,少しだけ戻したいときなど,早送りボタンを押した後すかさず再生ボタンを探して押さなければならず, 聴きながら思い通りの場所に送るのは至難の業です。 また,ビデオ画面上での操作を前提にしているようなところも気に障ります。 慣れの問題かもしれませんが,これにはがっかりです。

参考url: マランツのDV6500オンラインカタログページ

(記2006/01/22)



ポータブルCDプレーヤ Sony D-NE920

Sony D-NE920

ソニーのポータブルCDプレーヤの中では高級機(?)に属します。 光デジタル出力が付いているというだけの理由でこのプレーヤを選びました。 光デジタル出力の付いているポータブルCDは,2006年1月現在,現役機種としてはソニーのD-NE920とD-NE20の2機種しか見つかりませんでした。 2007年9月現在,D-NE920は生産終了,D-NE20のみとなってしまいました。 パナソニックのSL-CT820など,最近まで市場在庫が見られましたが,ここに来てもう全く見かけなくなりました。 光デジタル出力付き機種はいよいよ入手困難な状況になってきました。 ポータブルCDユーザの私としては本当に残念です。(以上,余談...)

電源は,ガム型ニッケル水素電池ですが,充電するのが面倒なので,電池ボックスを付けて乾電池駆動しています。 電池ボックスを付けると不細工で据わりが悪くなります。 私としては外付けなしで乾電池を使えるようにしてくれると助かるのですが。

その他,ローディングが遅い,ローディングのメカ音がやかましい,など,不満はいろいろとありますが,我慢して使っています。

このヘッドホン端子にゼンハイザーHD580を接続してみると,ドライブ能力が足りず,十分な音量が取れませんでした。 電池寿命を稼ぐため,システム全体が低電圧化しており,インピーダンスの高いヘッドホンが十分に駆動できないのではないかと思います。 パナソニックSL-S390(1995年発売)という古い製品も持っているのですが,これだと音量が取れるものの, 少し歪が感じられたので,使用を断念しました。

ポータブルCDプレーヤは,省電力のため間欠動作しています。 電源負荷が刻々と変化し,アナログ回路にも影響を及ぼしているのではないかとちょっと心配でしたので, アナログ出力は使用せず,電源負荷変動の影響が出にくいと思われる光デジタル出力を使用し, DAC付きのヘッドホンアンプに接続して使用しています。

参考url: ソニーのD-NE920オンラインカタログページ

(記2007/09/21) 追記・修正
(記2006/01/22)



アンプ Panasonic SU-MA10

Panasonic SU-MA10

1989年に発売されたパナソニックブランドの, 「ツインモノラル構成,デジタル・ダイレクト・ドライブ採用のデジタルストレートアンプ」 という謳い文句のプリメインアンプです。 MASH方式のDAC内蔵で,DAC内蔵の特徴を最大限に活かす構成になっているということです。 また,L/Rの相互干渉を避けるためのツインモノラル構成,強力な電源部など, バブルがはじける以前のこだわりの内容を持った中級本格アンプで,長い間大変気に入って使っています。 (参考urlをご参照下さい)

このアンプの特長を活かすため,プレーヤとは基本的にデジタルで接続していますが,SACDはデジタルで出力されないため, 一部アナログ接続も併用しています。 厚みのある音がこのDAC+アンプの特徴に思います。

ヘッドホンはヘッドホン端子に接続していますが,ヘッドホン端子はスピーカ出力と同じアンプ出力から取られているものの, 短絡時の安全面と音量調整のために,直列に330Ωの抵抗が入っています。 この方法だと,インピーダンスの周波数特性が大きく変動するヘッドホンでは,音圧特性に山谷が出てしまう可能性があります。 これを少しでも緩和するために, 「ヘッドホン紹介ページ」「要チェックヘッドホンリスト」の頁で紹介されている 「スピーカ用アンプをヘッドホンアンプ代わりに使う」を参考に,さらに330Ωと150Ωの抵抗を追加し, 150Ωの両端からヘッドホン出力を取り出す延長アダプタを製作して使っています。 ただ,この抵抗分圧方式が本当に良いかどうかはまだ検討の余地があると思っています。

参考url: SU-MA10の記事(k-nisiさんの「オーディオ懐古録」より)

(記2006/01/22)



ヘッドホンアンプ CEC HD53R Ver.8.0

CEC HD53R

本格的なヘッドホンアンプの中では初級機に属すると思います。 Web上の記事をいろいろと見ていると,過去の機種では,低インピーダンスのヘッドホンで音量の問題やボリュームのギャングエラーなど, いろいろと問題があったようですが,HD53R Ver.8.0ではそれらが一応解決されているらしい,ということで, 若干の不安を感じつつも導入に踏み切りました。 今のところ,品質上の問題は特にありません。

DV6500のアナログ出力との組み合わせで聴くと,SU-MA10に比べて少し細身ですっきりと見通しが良く,そして奥行きのある音に感じられます。 上級のヘッドホンアンプを聴いたことがないので音質に関して何とも言い難いですが, 私にとっては十分高音質で十分使える機器であると思います。

参考url: CECのオンラインカタログページさいたまAudioの「HD53 詳細レポート」(※前機種)

(記2006/01/22)



ヘッドホンアンプ ESI Dr.DAC

ESI Dr.DAC

韓国(?)のESIというメーカーのヘッドホンアンプです(なぜかESIのWebサイトにこの機種の製品情報がありませんが)。 国内ではエゴシステムズが取り扱っています(製品情報はPC Watchを参照)。 DAC付きで,しかも電池駆動可能ということで,これぞ求めていた製品! 大きさもはがきサイズ程度で扱いやすいです。

ゼンハイザーHD580を接続して聴いてみると,しっかりドライブ出来ていますし,音質も私にとっては十分でした。 Webで検索すると,オペアンプを交換するとさらに音質が良くなるということで,改造の記事がたくさん見つかりますが, ノーマル状態でも十分使い物になると思います(不満を感じるようになったら改造に挑戦してみたいと思っていますが)。

電源は,ACアダプタの他,単三型のニッケル水素電池4本が内蔵でき,フル充電で4時間の駆動が可能です(実際にそのくらいでした)。 もう少し長持ちしてくれればいいのですが,まあ仕方ありません。 電池はドライバでネジ1本を外し上蓋を開けて交換できますが,ちょっと面倒です。 本体充電可能なので良いといえば良いのですが,私としては,電池を2セット用意して交換しながら運用する方が便利なので, ちょっと不便を感じています。 蓋がスライドオープン式で開閉が固いので,普段からネジを外し,電池交換しやすいようにして使っています。

アルミ筐体で重量もあり,質感は意外に悪くありませんが,品質的にはちょっと怪しいところがあります(特に電源制御系の挙動が...)。 まあ音がそこそこ良いので許しますが,値段は決して安くないので,きちんと作って欲しいところです。 このあたりに日本製と韓国製(?)との「ものづくり」の考え方の差を感じます。

参考url: ESIエゴシステムズDr.DACの記事(PC Watchより)Dr.DACの記事(「Brichan's Square」より)Dr.DACの記事(「YASUのオーディオ倶楽部」より)

(記2006/01/22)

2007年8月に新機種のDr.DAC 2が発売されました。 機能的にはUSBオーディオが追加され,電池駆動がなくなりました。 私にとっては電池駆動がないと魅力半減です。
参考url: ニュースリリース製品情報AV Watchの紹介記事

(記2007/09/21)


充電池が電源OFFでも消耗する症状について

私の場合,ACアダプタで使用することはほとんどなく,充電器で充電したニッケル水素充電池を入れ替えながら使用しているのですが, 電池を入れっぱなしにしていると,数日後には電池が消耗して空になってしまうことがわかりました。 電源スイッチがメカニカルスイッチなので,OFF時には完全に電源が切れると思っていたのですが,そうではありませんでした。

充電池挿入,ACアダプタ非接続状態で,テスターで充電池から流れる電流を測定してみると, 電源OFF時でも22.6mAも流れていました。 これではすぐに電池が消耗するはずです。 完全にゼロに出来ないにしても,ポータブル機として22.6mAは流れすぎじゃないでしょうか? ちなみに,何も接続しない状態(セレクタはSPDIF入力)で電源ONすると175.4mA, SPDIF入力でヘッドホンHD580を接続し,ボリュームを10時あたりにしてみると,300mAを越えました(テスターの都合で正確には測定できませんでした)。

仕方がないので,使っていない時には電池を外すことにしました。 あぁ面倒... せめて充電池が簡単に取り外し出来る構造にしておいて欲しかった...

(記2006/04/11)


ヘッドホン Sennheiser HD580

Sennheiser HD580

ゼンハイザーのオープンエアー型の中級ハイファイヘッドホンで,同社のハイエンド製品であるHD600,HD650と似た外形です。 音質はHD600と同等という噂ですが,聴き比べたところ確かにそれほど違いはわかりませんでした。 現在HD580は残念ながら本国のカタログからも消えてしまいました。 流通在庫はわずかながらあるようです。

その音質ですが,癖のないバランスの良い音色,中高域の解像感の高さ,立体感・空間性の再現力,自然さ・圧迫感のなさ,など, どれをとっても素晴らしいの一言に尽きます。 いくつかヘッドホンを試してみましたが,その中ではとにかく群を抜いていて,私の中では最高のリファレンス機としての地位を獲得しています。 低域・超低域は少し弱めで量感はありませんが,私にとっては聴きやすくちょうど良い感じです。

大型のハウジングで,しかもイヤーパッドがやや硬く厚めで耳がすっぽりと覆われて耳に何も触れなくなるため,装着感はかなり良好です。 イヤーパッドの材質も,表面がビロード調なので触れた感じが良いです。 側圧はやや強めですが,イヤーパッドで触れる面積が比較的大きいので,長時間使っていてもそれほど疲れません。 オープンエアー型なので,遮音性はほとんどありません。 全体の質感も値段相応だと思いますが,オーディオテクニカ等の国内メーカーの同価格帯製品には及びません(私は気に入っていますが)。 インピーダンスが300Ωと少々高く,アンプを選ぶかもしれません。 出力の小さなポータブルプレーヤでは十分な音圧が得られず使えませんでした。

参考url: ゼンハイザーのオンラインカタログページ(←残念ながらサイトから消えています), ゼネラル通商(国内代理店)

(記2007/09/21) 加筆修正
(記2006/01/22)



ヘッドホン Sennheiser HD25-1/HD25-1 II

Sennheiser HD25-1

ゼンハイザーの密閉型の中では高級な部類に入ります(国内の定価が\42,000(HD25-1),\46,000(HD25-1 II)もします)。 HD25-1はかなり以前(20年前?)からあり,2007年7月にマイナーバージョンアップしてHD25-1 IIとなりました。 また,プロ用としてインピーダンスが600ΩのHD25-13というモデルがあるそうですが情報があまりなく詳細はよくわかりません。

音質はやや低域よりで,タイトでドライ, 密閉型でよく感じられる癖のある響きやこもり感は全くなく,また,圧迫感,閉塞感もほとんど感じられません。 周波数特性は極めてフラットな印象ですが,前記のような癖が強調されやすい中域あたりを実際には抑え気味にしてあるのではないかと。 結果として,私の嫌いな残響やそういった響きが抑えられ,私の好みのすっきりした音になっているのではないかと思います。 高域の音質がやや粗い感じもありますが,解像感が極めて高いためにそう思うのかもしれません。 いずれにしてもなめらかな音質ではありません。

旧機種と新機種では,音質はほとんど同傾向ですが,新機種の方がよりすっきりとした音質にまとまっており,新機種の方が好ましく思います。 カタログスペック上では,旧機種が感度105dB,新機種が120dBと15dBも上がっていますが,私が聞く限りでは感度の違いはほとんど違いが感じられませんでした。

装着感は悪くないものの,側圧が高めで,耳の上にのせるタイプなので,長時間使用していると耳が痛くなります(最近やっと少し慣れてきました)。 痛くなる部分は眼鏡の「つる」が押さえられるところなので,眼鏡を一旦外してヘッドホンを装着し, その後から眼鏡のつるが圧迫されないようにそっと差し込むことでだいぶ痛みが緩和されることがわかりました。

質感は,これでほんとに4万円?!,というくらいチープです。 見かけは正直言って3,000円くらいに見えます。 旧機種では,イヤーカップを止めているビスが錆びていたり,品質的にもあまり良くありません。 イヤーパッドは安っぽい合成皮革で,これもあまり印象は良くありません。 新機種では,ベロアタイプのイヤーパッドが交換用として付属していますが,どうやって交換するのかよくわからないのでまだ使っていません。 ケーブルはスチール製でやや固め(新機種の方が若干柔らかい),音質的にどうかはわかりませんが,絡みにくく取り扱いやすいです。 コネクタは新機種でようやく金メッキになり,標準プラグへの変換アダプタが付きました。 とにかく,所有する喜びを感じない質感の悪さは何とかして欲しいところです。

HD25は,音が頭に突き刺さるように入ってくるため,ロックなどのパンチの効いた音楽向きでクラシックには向かない, といった記事を見かけますが,私はそうは思いません。 確かに音場の広がりなどはあまりありませんが,癖のない素直な音質で,解像感が高く,中低域がしっかりしており, メイン機のHD580では気がつかなかったような音まで聴こえてきますし,楽器の質感などがよりリアルに感じられ, クラシックでも十分に楽しめる機種だと思います。 HD580はふわっとした音場でスピーカで聴いているような自然さがあるのに対して, HD25はその現場に入り込むようなバーチャルリアリティ的な感覚があるのが特徴です(遮音性が良く周囲の音が遮断されるのも一因か)。

参考url: Sennheiser HD25-1 IIゼネラル通商), AV Watch記事(2007/07/17)

(記2007/09/21)



ヘッドホン Sony MDR-CD900ST

Sony MDR-CD900ST

プロの現場でも最も使われている有名な定番モニターヘッドホンなので,ご存じの方が多いと思います。 ソニーとソニー・ミュージックエンタテインメントとの共同開発品とのことで,ソニーのWebサイトには製品情報がありません。 「原音(この場合は信号に含まれている音)を出来るだけ忠実に再現する」ことに注力されており, 「録音のノイズや粗を見つけるのに最適であり,音楽鑑賞には向かない」と一般的には言われているようです。

聴いてみると,音が耳のすぐ近くで鳴っているようで,音場は広くありませんし,やや圧迫感があり開放感は全くないと言えます。 特性はフラット感がありますし,密閉型ですがこもり感は少なく,中高域は極めてクリアで解像感が高く, 音の輪郭をくっきりと聴き取ることが出来ますし,今まで気がつかなかった音がどんどん耳に飛び込んできます(本来音楽を楽しむ上で必要のない雑音まで良く聴き取ることができます)。 低域は,量感こそないものの,レンジが広く,空気の振動,圧力変化まで感じることができ, リアルというか空気感がものすごく感じられます。 スタジオモニターとして使用される理由がわかる気がします。

能率は高めで,最近のポータブルプレーヤで使用しても十分な音量が確保出来ます。

全体の質感は,良いとは言えませんが,いかにも実用本位という感じで,それなりです。 イヤーパッドの表面の材質が薄く安っぽい人工皮革?というのが今ひとつです。 また,最近の機種では大抵ミニプラグに標準プラグのアダプタが付属していますが,これは標準プラグのみです(プロ用なので仕方ないですね)。 同じような形をした機種にMDR-7506がありますが,こちらは,折りたたみ可,カールコード,ミニプラグ+標準プラグアダプタ, ということで,使い勝手はこちらの方が良さそうです(改造してくれる店もあるようですが...標準で同じようにしてくれないものか...)。

イヤーパッドが薄めで,大きさもそれほど大きくないため,耳が少し押さえつけられ, 側圧はそれほど強くないにも関わらず長時間装着していると耳が痛くなります。 私の場合,連続使用は1時間程度が限度です。 位置決めも,しっくりくるポイントがなかなか見つからず苦労します。 装着感は残念ながら最悪の部類に属します(こんなのを我慢して長時間使っているプロの皆さんはすごい!)。

音質的には確かに音楽を楽しむには向かないかもしれませんが, 素直で癖がなくソースの特徴を良く把握できますし,私自身はこれでも音楽が結構楽しめるということで,現在補助的に使用しています。 ただ,装着感が悪すぎるので,リファレンス機として使い続けたいと思えないところが残念なところです。

参考url: ソニーミュージックの商品紹介ページ修理・販売代理店

(記2006/01/22)

MDR-CD900STによく似た機種にMDR-7506があります。 ある量販店の試聴コーナーに並べて置いてあったので装着してみると,イヤーパッドが少し厚みがあって,装着感が多少なりとも良かったように思います。 2つを良く見比べると,外見こそ似ているものの,細部が結構異なり,全く別物であることがわかりました。 ただ,イヤーパッドは共用出来そうに見えたのですが,実際のところどうなんでしょう? MDR-CD900STにMDR-7506のイヤーパッドを付けてみた方はいらっしゃらないでしょうか? もし出来るならやってみたいと思うのですが...(でも音は変わってしまうかもしれませんね)。 情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら,ぜひ教えていただきたく,よろしくお願いします。

ちなみに,MDR-CD900STとMDR-7506を店頭で聴き比べてみた限りでは,全く音作りが異なりました。 ソフトでやや音像が奥まって聴こえました。 店頭なので,善し悪し(好みかどうか)まではわかりませんでした。

(記2006/02/12)