ペラシー氏のこと
フレデリック・ペラシー氏は,1972年生まれ,フランス,パリ出身。 技巧で魅了するタイプでも熱演で迫ってくるタイプでもありませんが,曲の魅力を独自の感性で引き出すセンスの良さ,繊細で透明感ある音色が魅力的な素晴らしいヴァイオリニストです。
彼の公式ホームページで私の大好きな曲を録音されていることを知り, 何とか入手して聴いてみたところ,その音楽性,美しい音色に魅了され,すっかりファンになってしまいました。 そして現在までにリリースされている全CD(計18枚)を入手するに至りました。
私が世界のヴァイオリニストの動向に疎いせいもあるとは思いますが,日本でペラシー氏の名前を聞くことはほとんどありません(残念ながら彼のCDも日本では入手しにくいのが実状です)。 彼のような素晴らしいヴァイオリニストがいることを一人でも多くの方々に知っていただきたいという思いで,このファンページを開設することにしました。 彼の演奏の魅力を少しでもお伝え出来ればと思っています。 サイトを訪れて下さった皆さんの心の中に微かでも彼の名前が刻まれることを願って...
ペラシー氏公式ホームページ → http://f.pelassy.free.fr/
(記2003/06/29)
ディスコグラフィ
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ集
(K.296, K.304, K.378, K.526)
フレデリック・ペラシー(ヴァイオリン),タチアナ・パヴロワ(ピアノ)
録音:2005年12月 Studio Acoustique, Passavant (Doubs, France)
BNL 112944 (P)(C)2006 SCAM/BNL (輸入盤)
ペラシー氏2回目のモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ集で,1回目から15,6年経っています。 K.304とK.378は再録音です。
聴き始めるといつものようにすぐに彼の世界に引き込まれてしまいます。 私があまりモーツァルトのヴァイオリン・ソナタを聴かないためかもしれませんが, この演奏からは不思議とモーツァルトを感じることがほとんどありません。 彼の演奏はいつもの通り自然体で優しさに満たされ,決して我を強く主張するものではないのに。 何気なさの中にしっかりと自分の世界を形作っていて,聴き手を包み込むように音楽を聴かせる, こういったところに彼の15年間の著しい成長が感じられ,また, こういう方向に成長されたことにファンとして本当にうれしくなります。
録音は残響の少ない環境で録音されたもので,私の好みではあるのですが, 少し距離感があってわずかに鮮明さが失われているところが惜しいと思います。 ペラシー氏の音色は元々ふくよかで暖かいので,これを生々しく鮮明にとらえてこそ音楽がより生き生きしてくると思うのです。 この音色こそファンの最大の宝物なのですから。
※本CDは2枚組で,1枚は通常のステレオ,もう1枚は同じプログラムでDTS 5.1チャンネルというちょっと変わったパッケージになっています。 DTSの方は再生環境がないので聴いていません。
(記2006/12/27)
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲集
(K.216, K.218, K.219)
フレデリック・ペラシー(ヴァイオリン)
ジャック・フランシス・マンツォーネ指揮/プラハ・スーク室内管弦楽団
録音:1991年3月
BNL 112807 (P)(C)1991 SCAM/BNL (輸入盤)
若々しいストレートさが気持ちの良い好演です。 著名なヴァイオリニストの演奏のように突出したところがあるわけではありませんが, そういった演奏では聴くことの出来ない純粋さ,美しさを湛えています。 これぞ若いからこそできる,そして若いときにしかできない演奏だと思います。 このモーツァルトの美しい音楽とペラシー氏の瑞々しい感性の波長がバッチリ合っている感じです。 ニュアンス豊かな美しい音でペラシー氏の持ち味がいかんなく発揮されていることは言うまでもありません。
解説書によると,カデンツァはペラシー氏自身の作曲のようです。 曲にまったく違和感なくつながっていますし,ちょっぴり躍動的な味付けもあって, なかなか聴かせます。
解説書に収録風景の写真がありました。 小さな教会でこじんまりと収録されたようです。 響きが多少あるものの,楽器音が自然でつややか,好ましい録音に思います。 またマンツォーネ氏とのショットもありました。 まだまだ若い青年です(18歳くらいですから当然ですが)。 この楽しそうな表情,すごくいいですねぇ。
(記2004/03/05)
Appendix: ペラシー氏の日本語表記について
ペラシー氏の日本語表記について,ファミリーネームを「プラシー」としていましたが, ペラシー氏のご友人(なんと日本人!)から「ペラシーと発音します」と教えていただきました。 有り難うございました。 おそらく正しい欧文表記は"Pelassy"ではなく"Pélassy"("-e-"にアクサン記号がある)ということだと思います。 ということで,このページの表記を全て「ペラシー」に変更しました。
(記2003/11/12)
Frédéric Pelassy氏の日本語表記を,本ホームページでは「フレデリック・プラシー」としています。 日本のサイトでは,ファーストネームを「フレデリク」,ファミリーネームを「プラッシー」,といった表記をされている場合もあります。 問題はファミリーネームの"Pelassy"です。 私の友人であるK.N.さんのご友人にフランス語に詳しい方がおられましたので,その方に伺っていただいたところ,
- フランス語では"-s-"のように一つだけであれば「ジ」と濁る音になり,"-ss-"のように重なると濁らなくなる。 英語のような感覚で促音になる表記は基本的にはない。
- "Pelassy"では,"e"ではなく"y"にアクセントがくる。「プラッシー」と表記すると「ラ」にアクセントがあるように発音してしまいがちで好ましくない。
- 以上から考えて,「プラシー」がふさわしいのではないか。
だた,CDの解説書の表記では,"Pelassy"と"Pélassy"("-e-"にアクサン記号がある)が混在しており,後者の場合には"é"にアクセントがきて「ペラシー」となるとのことでした。 どちらが正しいかはわかりませんが,ここでは「プラシー」で統一することとしました。
また,「英語」表記は基本的にはアクサン記号を省略して,単に"Frederic Pelassy"と表記しようと思っています。 公式ホームページでも英語版はアクサン記号が付いていませんので,「英語」ということであればこの表記でも良いのではないかと思っています。
(記2003/06/29)(一部追加2003/07/05)