コレッリ: ヴァイオリン・ソナタ集 作品5
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全集(9) | ||||||
演奏者 | レーベル | 収録年 | 収録曲 | 演奏 | 録音 | 補足 |
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ガッティ | Arcana | 2003 | 全集 | バロックVn | ||
グリュミオー | Philips | 1975 | 全集 | |||
ホロウェイ | Novalis | 1995,96 | 全集 | バロックVn | ||
ハジェット | Virgin | 1988,89 | 全集 | バロックVn | ||
マンゼ | harmonia mundi | 2001,02 | 全集 | バロックVn | ||
メルクス | Archiv | 1972 | 全集 | バロックVn | ||
モンタナーリ | Arts | 2002 | 全集 | バロックVn | ||
オノフリ | Anchor Records | 2012,13 | 全集 | バロックVn | ||
ウォルフィッシュ | hyperion | 1989 | 全集 | バロックVn | ||
選集(2曲以上) | ||||||
演奏者 | レーベル | 収録年 | 収録曲 | 演奏 | 録音 | 補足 |
バンチーニ | harmonia mundi | 1989 | 1-6 | バロックVn | ||
クイケン | Accent | 1984 | 1,3,6,11,12 | バロックVn | ||
リッチ | One-Eleven | 不明 | 8-12 | |||
寺神戸亮 | Denon | 1994 | 7-12 | バロックVn |
※ | フェイスアイコンについては「フェイスアイコン」を,評価点については「演奏・録音 評価基準表」をご参照下さい。 |
- レミー・ボーデ(Remy Baudet) (Brilliant) (全集)
- ルーシー・ファン・ダール(Lucy van Dael) (Naxos 2002) (No.1-6)
- フランソワ・フェルナンデス(Francois Fernandez) (Naxos 2006) (No.7-12)
- ユーディ・メニューイン(Yehudi Menuhin) (EMI 1978,79) (全集) (*LP)
CD感想
演奏:
録音:
エンリコ・ガッティ(Enrico Gatti) (Arcana 2003) (全集)
ガエターノ・ナシッロ(Gaetano Nasillo) (バロックチェロ)
グィド・モリーニ(Guido Morini) (チェンバロ)
バロックヴァイオリンによる演奏。 教会ソナタの装飾はコレッリによるもの,室内ソナタの装飾は独自のもののようです。
明るく情感豊かで歌心にあふれた表現が最高! 音楽が生き生きと輝いています。 みずみすしい音色も素晴らしいです。 どことなく漂う純朴さが,さらに印象を良いものにしています。
装飾は,特に緩徐楽章で華麗に決められていますが,やや無理矢理音符を詰め込んだように聴こえるのが少々残念です。 もう少し曲に自然に溶け込ませて欲しかった。 一方,急速楽章の装飾は素っ気ないほど控えめです。
この演奏で特筆したいのは,教会ソナタの楽しさです。 室内ソナタももちろん良い出来なのですが,それにも増して教会ソナタの魅力あふれる表現に心奪われました。 コレッリのソナタに関しては,前半の教会ソナタより後半の室内ソナタの方が断然おもしろいと思っていたのですが, この演奏を聴いて教会ソナタのおもしろさに始めて気が付いたように思います。 それほどまでにこの全集は素晴らしい!
録音:
少し残響が取り込まれていますが,明瞭感がそれほど損なわれておらず,印象は悪くありません。 楽器の音色も比較的自然です。 やや圧迫感のある音のとらえ方である点, ヴァイオリンに比べてチェンバロとチェロの音が現実感に乏しい点が惜しいと思います。
所有盤:
A 423 (P)2004 Arcana (C)2004 Arcana Charlotte & Michel Bernstein Editeurs (輸入盤)
P.S.
このCDを取り上げている山野楽器の古楽話題盤試聴室によると, ブックレットにガッティ氏自身による解説が載っており,当時の装飾法,使用した楽譜,演奏の編成などの解説のほか, 批評家や演奏家への苦言など過激な内容もあるとのこと。 非常に興味があるのですが,英文を読む根性がなく,残念ながら何が書いてあるかわかりません...(記2005/04/20)
演奏: 録音: |
ルジェーロ・リッチ(Ruggiero Ricci) (One-Eleven 録音不明) (No.8-12) モダン楽器による演奏。 ちょとしたトリルなどは付けられていますが,それ以外の装飾はほとんどありません。 溌剌とした元気の良さがあり,また,ロマンティックな歌い回しが印象に残ります。 ただ,ガンバとチェンバロの通奏低音でありながら,バロックを聴いているという感じがほとんどしません。 ふるえるような独特のヴィブラート,微妙な音程感が良くも悪くもリッチらしいと思います。 残念ながら私はどうしてもこれに馴染むことが出来ません。 録音: アナログ盤からの復刻のようです。 ヴァイオリンにフォーカスされていますが,楽器音は比較的明瞭に捉えられています。 残響感はあまりありません。 残念ながら帯域感(特に高域側)が少々不足していると思います。 もっとも,楽器音捉え方が比較的良いので,それほど印象は悪くありません。
所有盤: URS-92030 (P)1992 One-Eleven Ltd. (輸入盤) P.S. なんで第7番がないんだ,中途半端じゃないか,と思いましたが, どうもカップリング曲との関係で1枚に収まりきらなかったからではないかと思います。 (記2004/08/08) |
演奏: 録音: |
シギスヴァルト・クイケン(Sigiswald Kuijken) (Accent 1984) (No.1,3,6,11,12) バロックヴァイオリンによる演奏。 教会ソナタの方は,コレッリの装飾法によるのではないかと思います。 音楽の中に自然に溶け込んだ装飾,起伏に富んだ叙情的な表現(それでいて無駄なくすっきりしている), そして,何より快活でスピード感があるのが良いです。 しかし,なぜか印象が薄いです。 「バロック演奏のお手本」といった感じがするからでしょうか?...不思議です。 録音: 残響が多めに取り入れられており,さらに,楽器からマイクまでの距離が結構あるようで, 楽器音に対して響きの比率が高く,全く明瞭感がありません。 当然音色もかなり損なわれています。 全く私の好みではありません。 苛々が募ります。 演奏の印象が薄くなっているのは,この録音のためかもしれません。 損していると思います。
所有盤: ACC 48433D (C)AGLA p.v.b.a. (輸入盤) (記2004/08/06) |
演奏: 録音: |
アンドリュー・マンゼ(Andrew Manze) (harmonia mundi 2001,02) (全集) バロックヴァイオリンによる演奏。 装飾はマンゼ氏独自のものではないかと思われます。 あけっぴろげな感情表現に,聴いているこちらがちょっと気恥ずかしくなってしまいます。 でも,庶民的なトラッド音楽を聴いているような,そんな楽しさがあります。 バロック音楽でもここまでやっていいんだ,と,ある意味感動します。 緩徐楽章はテンポ感が希薄で即興的,ノンヴィブラートの透明感あるトーンがこの上なく美しく官能的, 元気の良い急速楽章も楽しいです。 装飾もここぞというところで即興演奏と思えるくらい大胆に決めてきます(でもフォリアはちょっと下品だぁ...)。 エガー氏のチェンバロも負けず劣らずマンゼ氏に同調して楽しい演奏を聴かせてくれます。 こういう演奏なので,後半の室内ソナタの方が断然面白いです。 正直言うと私の好きなタイプの演奏ではないのですが,次はどんな表現が出てくるんだろう?!,とワクワクさせられますし, 何度聴いてもその面白さが薄らぎません。 ちょっと悔しいですけど4.0点付けてしまいます。 録音: 録音環境の空間性を感じさせる響きが多めに入っています。 響きが被ることによる明瞭感への影響,音色への影響も何とかぎりぎり許容範囲かと思います。 好みの録音ではありませんが,それほど悪い印象ではありません。 響きに抵抗を感じない方なら,心地よい好録音に感じられるかもしれません。 チェンバロはややシャリシャリした音で実在感がないのが残念なところです。
所有盤: HMU 907298.99 (P)(C)2002 harmonia mundi usa (輸入盤) (記2004/04/09) |
演奏: 録音: |
モニカ・ハジェット(Monica Huggett) (Virgin 1988,89) (全集) バロックヴァイオリンによる演奏。 解説書によると,前半の6曲(教会ソナタ)はコレッリ自身の装飾法をベースに, 後半の6曲(室内ソナタ)はそれに似た装飾法を適用したとあります。 通奏低音は曲によって編成が変わります(VnとVcのデュオから全員参加まで)。 どこを取ってもバロックヴァイオリンらしく,その美質がいかんなく発揮された好演に思います。 控えめで上品であり,かつ明るさ,快活さも持ち合わせています。 装飾も,編曲か?と思えるほど派手に付けられている他の演奏に比べるとかなり大人しく感じますが, 嫌みがなくすっきりとしており,むしろ原曲の良さをうまく引き立てているようにも感じました。 音色も立ち上がりのガリガリ感をうまく抑えており,伸びやかで美しく響きます。 表現的にも技術的にも本当に完成度が高く,文句の付けようがないのですが, あえて言うなら,あまりにそつなくきれいにまとまりすぎていて,かえって印象が薄い, というなんとも贅沢な不満があるくらいでしょうか。 録音: 残響が少しあり,明瞭感が落ちていますし,音色も冴えないものになってしまっており, やや苛々させられるところはあるものの,一般的にみれば,それほど悪くなく普通の録音と言えるかもしれません。 ちょっと作為的な音作りになっているのが残念なところで,もう少し素直にすっきりと捉えてくれれば良かったと思います。
所有盤: 7243 5 62236 2 2 (P)1990 (C)2003 EMI Records Ltd/Virgin Classics (輸入盤) (記2004/02/16) |
演奏: 録音: |
ジョン・ホロウェイ(John Holloway) (Novalis 1995,96) (全集) バロックヴァイオリンによる演奏。 解説書によると,前半の6曲(教会ソナタ)は主にコレッリ自身の装飾法(第5番の第一楽章のみRoman)が用いられています。 後半の6曲(室内ソナタ)は次の装飾法によっているようです。 第7番:"Manchester Anonymous" manuscriptより(Sarabanda), 第8番:Festing(Preludio),Tartini(Preludio and Sarabanda), 第9番:Geminiani, 第10番:"Walsh Anonymous" manuscriptより(Sarabanda), 第11番:Dubourg。 なおAppendixとして,第3番の第2,3楽章について,Galeazziの装飾法のものが収録されています。 この全集で面白いのは,「トリオ・ヴェラチーニ」というグループ名ながら,トリオで演奏されることはなく, 通奏低音がチェロもしくはチェンバロのどちらか一方だけとなっていることです(曲によって使い分けられています)。 チェンバロだけというのは他にも例がありますが,チェロだけというのはあまり例がないのではないでしょうか。 なかなか新鮮な感じがして,面白いです。 なお最後のフォリアは,チェロ版とチェンバロ版の2種類が収められています。 で,演奏の方ですが...のっけから通奏低音のチェロがやってくれます。 いきなりバッハの無伴奏チェロ第三番プレリュードの最初の音型からスタートするので, 一瞬CDをかけ間違えたのかとドキッとします。 奇を衒ったところは他にはあまりありませんが,語るように大きく表現されているのが印象に残ります。 ただちょっとやりすぎかなと思うところもあります。 肝心のヴァイオリンはというと...確かにいろいろと工夫を凝らして聴き所を作ろうという意図はわかるのですが, そもそも技術的にちょっと辛いところが感じられ,また,音色も粘りがあるものの,ベタッとした感じで締まりがありません。 デュボーグの派手な装飾法を用いた第11番,フォリアまでくると,ヴァイオリンもチェロもやけに気合いが入っており, なかなかの聴きものではありますが,粗さも増幅されてしまって,安心して音楽に身を任せられないのが残念です。 録音: 教会での録音のようですが,あまり響きは感じられません。 ヴァイオリン,通奏低音とも明瞭に捉えられており,私好みの録音なのですが, ちょっと音色が濃すぎる感じがして,なぜか今ひとつスキッとしません。 まるで原色の油絵の具でコテコテに塗りたくった絵画を見ているかのようです。 決して嫌いではないのですが...
所有盤: 150 128-2 (P)(C)1996 AVC AUDIO VIDEO COMMUNICATIONS AG, SWITZERLAND (輸入盤) P.S. それにしても,デュボーグの装飾法が用いられた第11番,ちょっと全体から浮いています。 他にも採用している演奏者がいますが,うーん,あんまり好きになれないです。 (記2004/01/09) |
演奏: 録音: |
エリザベス・ウォルフィッシュ(Elizabeth Wallfisch) (hyperion 1989) (全集) バロックヴァイオリンによる演奏。 解説書によると,前半の6曲(教会ソナタ)はコレッリ自身の装飾法を多く取り入れていると書かれています。 後半の6曲(室内ソナタ)は特にどの装飾法とは明記されていないように思いました(間違っていたらごめんなさい)。 面白いことに,Appendixとして,最後に第九番のジェミニアーニの装飾法による演奏が独立して収められています。 第九番は私の最も好きな曲の一つなので,二つのバージョンが聴き比べられるというのはなかなかうれしい企画です。 また,通奏低音は,教会ソナタはオルガンが,室内ソナタはチェンバロが使われています。 緩徐楽章の柔らかな表現,急速楽章の小気味よさが気持ちよく,そして, 急速楽章であっても上品さを失わない好演です。 大人しい,どちらかといえば地味な演奏ですが,嫌みがなく何度聴いても飽きが来ません。 装飾も派手に決めるわけでもなく,どちらかといえば控えめに思いますが,ツボをしっかり押さえていて, 原曲の良さをうまく引き立てていると思います(特に室内ソナタ)。 最後に収められているジェミニアーニの装飾法による第九番の演奏ですが,繰り返しの一回目は装飾なし, 二回目に装飾を入れるというのが通例と思っていたのですが,この演奏では一回目も二回目も同じ装飾を入れていて, 少ししつこい感じがしました。 やっぱり通例通りの方がまとまりが良いように思います。 録音: 少し距離感があって,残響時間は長くないものの,やや響きが多めに取り入れられています。 そのために少し明瞭感,鮮明さが失われ,ヌケの悪さを感じるのが残念なところです。 とはいえ,残響があまり悪さをしていないので,印象としてはそれ程悪くありません。
所有盤: CDA66381/2 (P)1990 HYPERION RECORDS LTD. (輸入盤) (記2003/12/03) |
演奏: 録音: |
チアーラ・バンチーニ(Chiara Banchini) (harmonia mundi 1989) (No.1-6) バロックヴァイオリンによる演奏。 作品5全12曲のうち,前半の6曲(教会ソナタ)が収められています。 おそらくコレッリ自身の装飾法を用いているのではないかと思います(解説書を読む根性なし...)。 急速楽章はテンポも良く快活であり,緩徐楽章はじっくり伸びやかに歌っています。 緩急強弱も適度にあって,バロックヴァイオリンの良い面が出ている好演です。 特に緩徐楽章での透明感ある輝かしい音色が本当に美しく素晴らしいです。 まるでバロックヴァイオリンの見本みたいな演奏であり,全体通して完成度が高く文句の付けようがないのですが, 余りにも整いすぎていて,もうちょっと何か味付けが欲しいなんていう贅沢な不満を持ったりもします。 録音: 残響感はわずかにあるものの,ヴァイオリンの音は比較的明瞭に捉えられていると思います。 高域の帯域感も十分ではないものの,そこそこあるように感じます。 ただ,中低域の充実感のない浮いた音であり,実在感が希薄になってしまっているように思います。
所有盤: HMA 1951307 (P)1989,2000 harmonia mundi s.a. (輸入盤) (記2003/11/26) |
演奏: 録音: |
エドゥアルト・メルクス(Eduard Melkus) (Archiv 1972) (全集) バロックヴァイオリンによる演奏。 曲により通奏低音の編成が使い分けられています。 前半の6曲(教会ソナタ)は,主にコレッリ自身の装飾法が用いられています。 後半の6曲(室内ソナタ)は,第9番がジェミニアーニの装飾法,それ以外がデュボーグの装飾法をベースにしているようです。 また第7番は,ジェミニアーニによるコンチェルト・グロッソ編曲版で演奏, その他にも部分的に編曲版が用いられています(例えば,第10番の第4楽章,第11番の終楽章は,デュボーグ編曲の変奏曲版で演奏)。 それにしても,第1番の第1楽章,のっけからすごい! このアグレッシブさは一体何なんだ! バロック音楽で,コレッリでここまでやるかぁ?! おいおい! ってなもんで,あまりのテンションの高さに思わず笑ってしまいました。 しかもヴァイオリンだけでなく,チェンバロもためをはってバシッと決めてくれてます。 いやぁー,こんなの大好きです。 しかし,第2番以降ややテンションが下がっているのが残念! やっぱりアグレッシブにいくなら徹底的にいって欲しかった...ちょっと残念。 とはいえ,全般に快速なテンポであることには変わりなく,装飾も派手に決まって, これはこれで聴いていて楽しいです(でも一方で,ちょっと落ち着きなくせかせかと滑りすぎの感じもしますが)。 第7番の合奏協奏曲版も編曲がツボにはまって,ともすれば単調になりがちなこの曲を活き活きしたものにしていますし, あれっ,こんなんだっけ,と一瞬戸惑うような変奏曲編曲版も楽しめました。 全体にちょっと異端っぽい感じがしますが,バロックヴァイオリンによる演奏の枠にとらわれないチャレンジ精神が感じられて聴き応えがありました。 録音: 比較的明瞭に捉えられていると思いますが,残響時間は長くないものの響きが少々あり, なんとなくゴチャゴチャした感じがあってすっきりしません(特に通奏低音のチェロの音が全く良くありません)。 高域の伸び感もわずかに不足している感じで,スキッと見通しよく聞こえてきません。 どことなく古さを感じる録音ですが,これは仕方ないかもしれません。
所有盤: POCA-3064/5 (449 272-2) (P)1973 Polydor International GmbH, Hamburg (国内盤) P.S. 録音が1972年ということで,手持ちの中では最も古いものですが, そのアプローチは最近のバロックヴァイオリンの演奏よりも新鮮に感じます。 当時はまだバロック演奏の研究途上ということもあったんでしょうか? 新鮮味を感じるのはそのためかもしれません(根拠なしですが...)。 (記2003/11/10) |
演奏: 録音: |
アルテュール・グリュミオー(Arthur Grumiaux) (Philips 1975) (全集) モダン楽器による演奏。 概して,緩徐楽章は速めで淡々と,急速楽章は丁寧できっちりと,全体として緩急強弱の変化が少なめという印象です。 装飾も控えめで,バロックヴァイオリンによる多くの演奏を思うと,ほとんどないに等しいです。 音色は甘美で上品,まさにグリュミオーの本領発揮と言えます。 グリュミオーらしい品格と個性を堪能できる好演なのですが, 最近のバロックヴァイオリンの多彩な演奏を聴くにつけ, この演奏に対して物足りなさを感じてしまうのも事実。 まるで色褪せたセピア色の懐かしい写真を見ているようで,一種の切なさを覚えます。 録音: 残響感がほとんどなく,ヴァイオリン,チェンバロとも明瞭に捉えた好録音。 特にチェンバロがすっきりと透明感のある音色で心地よいです。 一方肝心のヴァイオリンは,やや音色に癖があるように感じます(これが本来の音色なんでしょうか?)。 仕方のないことと思いますが,ちょっと古臭さを感じます。
所有盤: PHCP-9665/6 (462 638-3) (P)1975 Philips Classics (C)Philips Classics (国内盤) P.S. アナログ時代から愛聴してきた演奏です。 当時,比較的簡単に手にはいるのはこのグリュミオー盤だけだったと記憶しています。 この企画のために久しぶりに引っ張り出してきてじっくり聴き返しました。 よく聴いていた当時のことが懐かしく思い出され,しばし感慨にふけってしまいました。 (記2003/11/01) |